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招き猫の選び方

黒い招き猫の意味とは?厄除けの由来や白との違いを解説

この記事でわかること

  • 研究所も公式2か所も、黒を厄除けの色とする
  • 白は開運招福、黒は厄除けと託す願いが異なる
  • 黒猫は西洋で不吉、江戸では病に効くとされた
  • 置き場所に公式の決まりはなく、身近な所でよい

黒い招き猫に込められてきたのは、災いを遠ざける厄除けの願いです。常滑の窯元・梅月冨本人形園は、黒の意味に「厄除」の字を使っています。

愛好家の集まりである日本招猫倶楽部の説明も同じで、招き猫研究所の定義も厄除けです。

一方で、黒を風水の「水の気」や仕事運と結びつける説明も見かけますが、作り手の説明には見当たりません。公式の説明と辞典、寺の伝えをたどり、黒い一体を迷わず選べるように整理しました。

黒い招き猫の意味

江戸時代の「猫水滴」。座った黒い猫の形をした水滴
「猫水滴」江戸時代・18~19世紀(東京国立博物館蔵)/出典:ColBase

黒い招き猫の意味は、2つの公式で「厄除け」にそろうのが特徴です。ただし言い回しには作り手ごとの差があり、公式の説明にない意味も一部で広まっています。

黒い招き猫の意味のポイント

  • 公式2か所は、いずれも黒に厄除けの意味を当てている
  • 風水の「水の気」や仕事運は、公式の説明に見当たらない

招き猫研究所が定義する色の意味

招き猫研究所では、色ごとに託す願いを一つずつ定め、次の表にまとめています。黒は、その中でも定義の理由が明快な色の一つです。

招き猫研究所の色の定義

色招き猫研究所の定義研究所の考え方
白・三毛開運招福(どんな願いにも通じる基本の色)何色にも染まる白と、日本の猫らしい三毛は、願いを選ばずに福を招く基本の色
金金運・仕事運小判や黄金を思わせる金は、お金の巡りと、仕事や商いの実りを招く色
黒厄除け夜の闇にも溶ける黒は、災いを寄せつけず、身と家を守る色
赤病よけ古くから病を遠ざける色とされてきた赤は、病から身を守る色
緑健康長寿草木や若葉の色である緑は、いのちの勢いとすこやかさを表し、長く元気に過ごす願いを託す色
ピンク恋愛成就桜を思わせるやわらかなピンクは、恋心と良い出会いを招く色
黄人望招福(人に慕われ、人が集まる運。いわゆる人気運)明るく人の目を引く黄は、人に慕われ、まわりに人が集まる運を招く色
青学業向上(集中力・判断力の向上)澄んだ空や水を思わせる青は、心を落ち着かせ、学びに向かう集中と判断を支える色

研究所では、黒を「厄除け」の色と定義しています。夜の闇にも溶ける黒は、災いを寄せつけない強さを感じさせる色だからです。

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そのため研究所は、黒を身と家を守る色として位置づけました。災いや不運を遠ざけたい願いを託す色といえます。

一方で、仕事運や風水の方角を黒に結びつける説明は、研究所の定義には含めていません。黒い招き猫が災いを防ぐと約束するものでもない点に注意してください。

公式2か所が黒に当てる意味

黒は、厄を除けて福を招く色とされています。愛好家団体と窯元が、それぞれ黒の招き猫に当てている言葉を比べました。

黒い招き猫の意味(公式2か所の比較)

公式黒に当てている意味
日本招猫倶楽部(愛好家団体)厄除開運
梅月冨本人形園(愛知県常滑市)厄除招福

表のとおり、2か所の言葉はどちらも「厄除」で始まります。梅月冨本人形園は英語の説明でも、黒を不運から身を守るお守りの色と書き添えました。

なお、日本招猫倶楽部の説明では、家内安全は黒ではなく白に含まれています。

つまり、災いを避けたいときの色は黒と考えれば、2か所の説明のどちらとも食い違いません。厄除けを願う招き猫の選び方は、厄除けの記事で詳しく扱っています。

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風水の「水の気」は公式にない説明

黒を「水の気」や仕事運と結ぶ説明は、公式に見当たりません。黒い招き猫を北に置くと仕事運が上がる、黒が厄を吸い取るといった紹介を目にすることもあります。

ところが、2か所の公式の説明を確かめても、方角や五行(木・火・土・金・水)の話は一度も出てきませんでした。風水は山川の流れや陰陽の気をもとに住まいを定める陰陽家の術で、招き猫の作り手の説明とは出どころが異なります。

だからこそ、黒の意味は作り手が示した意味とあとから語られた意味に分けて受け止めるとよいでしょう。

風水の考え方を招き猫に取り入れるときの向き合い方は、別の記事にまとめました。

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黒の意味がわかると、職人がその黒をどう仕上げているのかにも目が向くはずです。招き猫研究所の運営元、株式会社日本招き猫総合研究所も「Luxen Maneki」というブランドを手がけています。

その黒の招き猫「浮世」は、瀬戸焼の伝統窯で職人が金彩を一体ずつ手で描いた招き猫です。

白い招き猫との違い

白と黒は、店頭で多く選ばれる2色です。託す願いの違いと、上げた手との組み合わせ方を確かめます。

白は開運招福、黒は厄除け

白は福の全体を招き、黒は災いを遠ざける色です。公式2か所が白と黒に当てた意味を並べると、願いの向きの違いがはっきりします。

白と黒の招き猫の意味(公式2か所の比較)

公式白黒
日本招猫倶楽部開運招福・家内安全厄除開運
梅月冨本人形園来福招福厄除招福

招き猫研究所の定義では、白と三毛は願いを選ばずに福を招く基本の色です。それに対して黒は、厄除けという一つの願いに絞った色という位置づけです。

つまり、迷ったら白、守りを願うなら黒と考えると選びやすくなります。

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上げた手は色とは別に選ぶ

手の意味は、色とは切り離して考えるのが公式の説明に沿った選び方です。2か所はそろって、右手はお金を、左手は人や客を招くと説明しています。

黒い招き猫だけに当てた手の決まりは、2か所のどちらにも書かれていません。厄除けなら左手、仕事運なら右手といった組み合わせを見かけることもありますが、出典は確かめられませんでした。

ただし、京都の檀王法林寺に伝わる古い黒い招き猫は、右手を上げた姿だったといいます。そのため、黒の厄除けに金運を重ねるなら右手、客や縁なら左手というように、色と手を組み合わせて決めるとよいでしょう。

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黒い招き猫と黒猫の伝え

伝卞相壁「雀猫図軸」の部分。木の上の雀を見上げる黒白の猫
伝卞相壁「雀猫図軸」(部分)朝鮮時代・18世紀(東京国立博物館蔵)/出典:ColBase

黒い招き猫の背景には、寺の伝えと、黒猫をめぐる俗信があります。黒猫を不吉とみる見方も、福をもたらすとみる見方も、辞典に記録が残っていました。

檀王法林寺に伝わる黒招き猫

京都の檀王法林寺は、黒い招き猫の古い伝えをもつ寺です。寺にまつられる主夜神(しゅやじん)尊は、夜を守り、盗難や火災を防ぐ神とされてきました。

夜を守る神と、闇夜に目が光る黒猫が結びついたのか、この神の使いは昔から黒猫だと寺は伝えています。主夜神尊の銘を刻んだ招福猫は江戸の中頃から作られ、右手を挙げた黒い姿でした。

ほかが模作することを禁じられるほど信仰をあつめ、寺社に関わる招き猫で最古とする説もあるそうです。とはいえ、これは寺に伝わる話で、黒が厄除けの色とされた理由のすべてを説明するものではないでしょう。

つまり、夜を守る黒猫の伝えは、黒と守りを結ぶ一例と考えられます。

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招き猫にまつわる各地の言い伝えは、伝説の記事で紹介しました。

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黒猫は不吉か、福を招くか

黒猫への見方は、時代と地域によって大きく異なります。世界大百科事典は西洋の俗信として、黒猫が朝に道を横切るのは不幸のしるしという例を挙げています。

一方で精選版日本国語大辞典によれば、江戸時代には黒猫を飼うと労咳(ろうがい:肺結核)が治るという俗信がありました。恋の病にも効き目があると語られていたそうです。

このように受け止め方は時代や地域で分かれるため、黒を贈るときは厄除けの意味を一言添えると、受け取る人も安心できるでしょう。

黒猫やハチワレなど、柄ごとの招き猫の違いは種類の記事にまとめました。

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本物の黒猫が日本と西洋でどう語られてきたかは、次の記事で辞典や博物館の資料をもとに紹介しています。

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黒い招き猫の置き場所

黒い招き猫を置く場所に、公式が定めた決まりはありません。迷ったときの考え方を、辞典と愛好家団体の説明から整理します。

決まりはなく、毎日目に入る場所でよい

黒い招き猫は、守りたいものの近くで毎日目に入る場所に置くとよいでしょう。日本招猫倶楽部も、どう飾るかに特別な決まりはないと答えています。

身の回りに置き、いつも目にすることが福を呼び込むというのが、倶楽部の考えです。昔は庶民の信仰の対象として、やや高い所に安置され、お水などが供えられていたようです。

一方で、玄関で外へ向ける、北に置く、白と並べて陰陽を整えるといった置き方は、公式2か所の説明に見当たりませんでした。ただし店の場合は、正月に買い求めて店の入口に置く風があったと辞典が記しています。

つまり、家なら家族が出入りする場所、店なら入口というように、何を守りたいかで場所を決めると迷いません。

場所ごとの考え方と、玄関に置くときの向きは、次の2つの記事で掘り下げました。

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よくある質問

Q. 黒い招き猫と赤い招き猫は、どちらが厄除けですか?

A. 厄除けの意味が当てられているのは黒で、2か所の公式で一致しています。赤について、愛好家団体の説明は健康長寿、常滑の窯元は健康招福です。研究所の定義では、赤は病よけ、黒は厄除けと分けています。厄を遠ざける守りを願うなら黒を選ぶと考えるのが自然でしょう。

Q. 檀王法林寺の黒い招き猫は授かれますか?

A. 授かれます。2026年10月時点の寺の案内では、招き猫などの授与品は庫裏(寺務所)で受けられます。毎年12月の第1土曜日には招福猫・主夜神大祭があり、参拝者には古い招き猫の復刻像が授けられるそうです。授与品の価格は改定が告知されているので、最新の金額は寺の公式サイトで確かめましょう。

Q. 黒い招き猫はどこで作られていますか?

A. 日本招猫倶楽部が招き猫の主な産地に挙げるのは、愛知県の瀬戸市と常滑市です。ほかに岐阜県多治見市、石川県の金沢市や小松市も挙がっています。黒の意味を示した梅月冨本人形園は、常滑の窯元です。産地ごとに顔つきや絵付けが違うため、見比べて選ぶとよいでしょう。

招き猫研究所がつくる招き猫「Luxen Maneki」

厄除けの黒は、暮らしや店を守るものとして長くそばに置く色です。それだけに、量産の招き猫と何が違うのか、作り手まで知ったうえで選びたい人も多いのではないでしょうか。

招き猫研究所が手がける「Luxen Maneki」は、六古窯のひとつに数えられる瀬戸の焼き物です。黒の浮世のほかに白の花筏と金の錦鯉があり、伝統窯の職人が金彩を一点ずつ手で描いています。

受注生産のため、注文から仕上がりまでは約4〜6週間です。

まとめ

黒い招き猫は、愛好家団体と窯元の2か所で厄除けの色とされています。白が福の全体を招く開運招福の色であるのに対し、黒は災いを遠ざける願いに絞った色です。

一方で、風水の「水の気」や、北に置くと仕事運が上がるといった説明は、作り手の説明には見当たりません。黒猫は西洋では不吉、江戸では病に効くとされ、見方は時代と地域で異なります。

置き場所に決まりはないため、守りたいものの近く、毎日目に入る場所を選んでください。上げた手は色とは別に、金運なら右手、客や縁なら左手で選ぶと願いがはっきりします。