この記事でわかること
- 招き猫は姿の要素ごとに願いが込められた縁起物
- 手は右がお金、左が人を招くといわれる
- 色や持ち物の意味は作り手や時代で異なる
- 意味を知ると、願いに合う一体を選べる
招き猫は、上げた手・色・小判・首輪・形といった姿の要素ごとに、招く福が違うといわれる縁起物です。ただし色や持ち物の意味は一つに決まっておらず、作り手や時代によって少しずつ変わってきました。
店先の招き猫が、なぜ小判を抱えて赤い首輪をしているのか、考えたことはあるでしょうか。要素ごとの意味と、その意味が生まれた理由がわかれば、願いや贈る相手に合った一体を自分で選べます。
辞典や寺社、産地の公式情報と、研究者・窯元への取材をもとに整理しました。
招き猫の意味【早見表】
招き猫は「福や客を招く」縁起物で、その願いは手・色・持ち物など姿の要素ごとに込められてきました。要素ごとの意味を一表に並べると、どこまでが共通の言い伝えで、どこから作り手によって違うのかが見えてきます。
客と福を招く縁起物という意味
招き猫は、客や財宝を招くという縁起をかつぐ置物です。辞典では、右か左の前足を上げて人を手招きする姿の猫の置物と説明されています。
人を招く姿に似ていることに加え、芸者を「ネコ」と呼んだことにちなんで、花街や飲食店で好まれてきました。正月に招き猫を買い求め、店の入口に置く風習もあったと世界大百科事典は記しています。
猫そのものにも、福を運ぶ不思議な力があると考えられていたようです。そのため招き猫の意味は、商いの場に客と福を呼び込みたいという願いが出発点だといえるでしょう。
姿の要素ごとの意味一覧
招き猫の意味は、手・色・持ち物・首輪・形の5つの要素で読み解けます。一般にいわれる意味と、作り手や寺社による違いを並べると次のとおりです。
招き猫の姿の要素と意味
| 要素 | 一般にいわれる意味 | 作り手・寺社による違い |
|---|---|---|
| 右手 | お金・金運を招く | 豪徳寺は右手で「縁」を招くと伝える |
| 左手 | 人・客を招く | 書籍や寺社によって左右が入れ替わる |
| 両手 | 開運の力が倍になるという説がある | 「お手上げ」に見えるとして敬遠する向きもある |
| 色 | 研究所の定義では白・三毛は開運招福、金は金運・仕事運、黒は厄除け | 作り手によって色の意味の割り当てが異なる |
| 小判 | 福や富の象徴として抱える | 豪徳寺の招福猫児は小判を持たない |
| 鈴・前掛け | 研究所の定義では鈴は招福・魔除け、前掛けは千客万来 | ― |
| 赤い首輪 | ― | 唐猫の紐に由来するという研究者の見立てがある |
| 形 | 細身の瀬戸系、二頭身の常滑系 | 産地ごとに顔つきや持ち物が違う |
表の右の列のように、同じ要素でも寺社や窯元によって意味が変わるものがあります。なかでも色と持ち物は、時代の求めに応じて新しい意味が加わってきた要素です。
つまり、招き猫の意味は一つの正解を覚えるものではありません。どの作り手が、どんな願いを込めたかまで知ると、一体ごとの違いが見えてくるはずです。
手・色・小判といった姿の要素を、タトゥーの図案として読むときの意味は次の記事にまとめました。
招き猫の手の意味
上げている手は、招き猫の意味の中心にある要素です。一般には右がお金、左が人とされますが、資料や地域によって異なる説もある言い伝えです。
右手はお金、左手は人を招く
右手を上げた招き猫はお金を、左手を上げた招き猫は人を招くといわれています。観光庁の多言語解説文でも、上げた足が右なら幸運や富を、左なら人を招くとの説明です。
上げている手と招くといわれるもの
| 上げている手 | 招くといわれるもの |
|---|---|
| 右手 | お金・金運・富 |
| 左手 | 人・客(千客万来) |
一方で、愛知県図書館が公開する調査記録には、右手を昼の商売向き、左手を夜の商売向きとする説も載っています。同館は、説が資料ごとに異なり、土地によっても違うと述べました。
そのため左右の意味は、語り継がれてきた言い伝えとして受け止めるのがよいでしょう。
左右の意味が寺社で逆になる例や、左手から先に作られたという説は、右手と左手の記事で取り上げました。
両手と手の高さの意味
両手を上げた招き猫には、開運の力が倍になるという説があると、時事用語事典のイミダスは紹介しています。ただし両手を上げた姿は「お手上げ」を連想させるとして、従来は縁起が悪いとされてきたとも記されています。
そのため、両手の招き猫を贈るときは、相手が「お手上げ」と受け取らないかも考えておくと安心です。
あわせて、上げた手の高さにも、耳より高く上げた「手長」などの呼び分けがあります。両手の招き猫の選び方と、手の高さで変わる意味は、次の2本で扱っています。
招き猫研究所が定義する手の意味
招き猫研究所では、手の左右と高さの意味を次のように定めています。
招き猫研究所の手の定義
| 手 | 招き猫研究所の定義 | 研究所の考え方 |
|---|---|---|
| 右手 | 金運(お金を招く) | 右手の手招きは、お金の巡りと商いの実りを呼び寄せる |
| 左手 | 人招き(客と縁を招く) | 左手の手招きは、客・仲間・良い出会いなど、人とのご縁を呼び寄せる |
| 両手 | お金と人の両方を招く | 右手と左手の願いを一体に重ねた姿。研究所では「お手上げ」とは読まない |
| 手長(上げた手が耳より高い) | 遠くの福・大きな福を招く | 高く伸ばした手は、まだ見ぬ遠くの客や大きな福まで呼び寄せる |
| 手短(上げた手が耳より低い) | 身近な福を招く | 顔のそばの手は、毎日の暮らしの中にある身近な福を呼び寄せる |
この定義は、色・持ち物の定義とあわせて招き猫研究所 資料室の「招き猫研究所の定義」にまとめています。
招き猫の色の意味
色に託す意味は、土地や時代ごとに受け止め方が違ってきました。そこで研究所は、8色の意味を一つの基準として定めました。
色の意味で押さえたいこと
- 研究所の定義では、白・三毛は開運招福、金は金運・仕事運、黒は厄除け
- 研究所は赤を病よけ、緑を健康長寿と分けて定義した
- 作り手が別の意味を添えている色もあるため、説明も確かめる
招き猫研究所が定義する色の意味
招き猫の色を選ぶときの手がかりとして、研究所としての基準を一つ示しておきます。招き猫研究所では、8色の意味を次のように定義しています。
| 色 | 招き猫研究所の定義 | 研究所の考え方 |
|---|---|---|
| 白・三毛 | 開運招福(どんな願いにも通じる基本の色) | 何色にも染まる白と、日本の猫らしい三毛は、願いを選ばずに福を招く基本の色 |
| 金 | 金運・仕事運 | 小判や黄金を思わせる金は、お金の巡りと、仕事や商いの実りを招く色 |
| 黒 | 厄除け | 夜の闇にも溶ける黒は、災いを寄せつけず、身と家を守る色 |
| 赤 | 病よけ | 古くから病を遠ざける色とされてきた赤は、病から身を守る色 |
| 緑 | 健康長寿 | 草木や若葉の色である緑は、いのちの勢いとすこやかさを表し、長く元気に過ごす願いを託す色 |
| ピンク | 恋愛成就 | 桜を思わせるやわらかなピンクは、恋心と良い出会いを招く色 |
| 黄 | 人望招福(人に慕われ、人が集まる運。いわゆる人気運) | 明るく人の目を引く黄は、人に慕われ、まわりに人が集まる運を招く色 |
| 青 | 学業向上(集中力・判断力の向上) | 澄んだ空や水を思わせる青は、心を落ち着かせ、学びに向かう集中と判断を支える色 |
白と三毛は、研究所が開運招福を託す基本の色です。そのうえで、金・黒・ピンクにはお金と仕事、厄除け、恋愛という願いを分けて託しました。
健康にかかわる願いは、赤を病よけ、草木の色の緑を健康長寿として2色に分けました。黄は人に慕われる運、青は学びへの集中を託す色です。
つまり、この表は研究所が色ごとに考え方を定めた価値基準です。効果を約束するものではなく、願いに合う色を考える手がかりとして使ってください。
白・三毛と金は招福と金運の色
白や三毛の招き猫は、研究所の定義では願いを限らない「開運招福」の色です。何色にも染まる白と同じく、三毛も特定の願いに偏らない基本の色に置いています。
常滑の招き猫について、観光庁の解説文は白・黒・オレンジの模様の三毛猫が一般的だとしています。色とりどりの招き猫が並ぶ今も、三毛の置物の人気は衰えていないそうです。
三毛の招き猫の意味や、三毛猫が縁起物とされてきた理由、雄の三毛猫が珍しいわけは、種類の記事で詳しく扱っています。
金色の招き猫は、その色が示すとおり金運を願う色として選ばれてきました。なお、招き猫の起こりについては、日本大百科全書が紹介する説もあります。天明年間(1781〜89年)に江戸・両国にあった「金猫銀猫」という店に、その始まりを求める説です。
この店は金銀に彩った招き猫を店先に飾っていたと伝えられ、金の招き猫と商いの結びつきの古さを感じさせます。つまり、どの願いにも向く白・三毛と、金運に絞った金が、招き猫の色の基本といえるでしょう。
白と金の招き猫が選ばれてきた背景は、色ごとの記事で詳しく紹介しています。
黒と赤は厄除けと病よけの色
研究所の定義では、黒は厄除け、赤は病よけの色です。黒は災いを遠ざけて家を守る色として、研究所が厄除けに置いた色です。
赤については、健康長寿ではなく病を遠ざける色として研究所は定義しました。
その理由は、赤という色そのものが病除けと結びついてきた歴史にあります。群馬県立歴史博物館は、赤には古くから魔除けや疫病除けの力があると信じられてきたと紹介しました。
ここでいう疫病の一つが、疱瘡(ほうそう:天然痘)です。江戸時代には、疱瘡よけのまじないとして赤一色で刷った錦絵を貼る風習もありました。
浮世絵研究者の大久保範子氏も研究所の取材で、江戸の子ども向けの玩具や縁起物には赤が多いと語っています。そこで研究所は、こうした江戸の赤の感覚をふまえ、赤を病を遠ざける色と位置づけました。
黒と赤の招き猫に込められてきた願いは、それぞれ別の記事で扱っています。
ピンク・黄・緑・青の意味
研究所の定義では、ピンクは恋愛成就、黄は人望招福、緑は健康長寿、青は学業向上の色です。黄・緑・青は、研究所がそれぞれの色に考え方を添えて新しく意味を定めました。
研究所の取材で民俗学者の島村恭則氏は、色の受け止め方は土地や時代で変わると話していました。そのため、同じ黄や緑でも、作り手が別の願いを添えている招き猫もあるでしょう。
黄色と緑の招き猫に込める願いは、色ごとの記事で扱っています。
だからこそ、黄・緑・青の招き猫を選ぶときは、研究所の定義を目安にしつつ作り手の説明も確かめると迷わずに済みます。ピンクと青の招き猫に込める願いも、色ごとの記事にまとめました。
色の意味がわかると、その色をどんな技で表した一体なのかも、選ぶ理由になってきます。その一例が「Luxen Maneki」です。招き猫研究所を運営する株式会社日本招き猫総合研究所が手がけています。
金の錦鯉、白の花筏、黒の浮世のどれも、瀬戸焼の伝統窯で職人が金彩を描き入れた一体です。
招き猫の小判と持ち物の意味
招き猫が抱える物は、商いの願いをより具体的に示すもう一つの意味です。なかでも小判は、寺社によって持たせるかどうかの考え方まで分かれています。
小判は商いの福を表す
常滑系の招き猫は、片方の前足に小判を抱えているのが典型的な姿です。観光庁の解説文も、片方の前足を上げてもう片方で小判を持つ姿を、常滑の招き猫の特徴としています。
一方、豪徳寺(東京都世田谷区)の招福猫児(まねきねこ)は、小判を持たずに右手を上げています。寺の公式サイトによれば、招福猫児が人を招いてもたらすのは縁であり、福そのものを授けるわけではありません。
授かった縁を生かすのはその人自身だという教えから、あえて小判を持たせていないのです。つまり小判は、縁の先にある福そのものを形にした持ち物と読むこともできます。
小判に込められた願いは、別の記事で詳しく紹介しました。
小判のほかの持ち物と種類
小判のほかにも、招き猫は鈴や首輪、前掛けといった装いで願いを表します。鈴に招福・魔除け、首輪に縁をつなぐ願い、前掛けに千客万来を託すのが、研究所の定義です。
そのなかで小判は、金運を表す持ち物にあたります。たとえば店先に置くなら前掛けの千客万来、家に迎えるなら首輪の縁というように、装いからも願いを重ねられます。
つまり、持ち物や装いの組み合わせで願いを足せることが、招き猫の意味に幅をもたせているといえるでしょう。
赤い首輪は唐猫の紐に由来するという見立て
赤い首輪の由来には、平安時代の唐猫にさかのぼる見立てがあります。浮世絵研究者の大久保範子氏が、研究所の取材で語った説です。
唐猫(からねこ)は中国から伝わった猫で、数が少なく珍しかったため、貴族が紐をつけて屋敷で飼っていました。源氏物語では、女三宮(おんなさんのみや)の唐猫が逃げようとして御簾が上がる場面が、物語の転機になります。
物語の本文には紐の色が書かれていません。ところが鎌倉時代以降にこの場面を描いた絵では、紐がほぼ赤く描かれているそうです。
江戸時代に王朝文化を題材にした絵が多く描かれると、「猫には赤い紐」という描き方が定型になったと大久保氏は見ています。なお、もとになった中国の猫の絵には紐がありません。
江戸で赤が縁起の色とされた感覚や、浮世絵の猫の話は、大久保氏へのインタビューにまとめています。首輪・鈴・前掛けの由来と研究所の定義は、もう一つの記事にまとめました。
手・色・持ち物をはじめ、丸〆猫・招福猫児・常滑系など招き猫に関わる58の言葉の読み方と意味は、招き猫研究所 資料室の「招き猫用語集」にまとめています。
形と産地で変わる招き猫の姿
同じ招き猫でも、産地の型によって顔つきや持ち物が違います。愛知県瀬戸市の瀬戸焼で作られる「瀬戸系」は、細身の体に前掛けのひだまで細かく表した型です。常滑焼(愛知県常滑市)では、二頭身の体に大きな小判を抱く「常滑系」が生まれました。
型ごとの始まりや姿の違いは、招き猫の歴史と種類をまとめた記事で比べています。
つくり手が語る招き猫の意味
窯元は、意味を決める側ではなく、受け継いだ形を守る側として招き猫を語ります。常滑の梅月冨本人形園は、祖父の代から三代にわたって招き猫をつくり続けてきた窯元です。
取材の席で冨本さんは、招き猫を「福を招くというより、見た人が笑顔になるもの」と表現しました。金運や商売繁盛より先に、笑顔という言葉が出てきたことが印象に残ります。
瀬戸のフジコウセラミックは、上げる手の左右や耳の位置など、これまでの解釈を崩さない基本形を守っています。その一方で藤井さんは、作り手として意味を背負わせすぎないという姿勢を取材で示しました。
意味より形に惹かれて選んでもいい、というのが藤井さんの考えです。つまり作り手にとって招き猫の意味は、守る約束であると同時に、自由に受け取ってよいものなのでしょう。
意味に迷ったときは、作り手の言葉を手がかりに一体を選ぶのも一つの方法です。二つの窯元の仕事場や招き猫づくりへの考えは、それぞれの取材記事にまとめています。
招き猫の意味が生まれた背景
招き猫の意味の背景には、猫が暮らしで果たした役割と、手招きの所作への見立てがあります。そのうえで、ご利益は時代の願いに合わせて少しずつ増えてきました。
意味が生まれた3つの背景
- ネズミを捕る猫は、蚕と商いを守る動物だった
- 手招きの姿が、客を呼ぶ所作に重ねられた
- ご利益は時代の願いに合わせて付け加えられてきた
猫はネズミから蚕と商いを守る動物だった
猫は、ネズミを捕ることで農家や商家に大切にされてきた動物です。観光庁の解説文も、招き猫の起源ははっきりしないとしたうえで、猫のこの役割に触れています。
養蚕の盛んな地域では、蚕や繭を食べるネズミを避けるために、猫の絵やお札が使われました。猫を蚕の守り神とする素朴な信仰もあり、江戸時代の養蚕の書物にも記されていると図書館の調査事例は伝えています。
関東などでは張り子の招き猫が達磨市で売られ、ネズミ除けの意味からおもに農家が買い求めたといわれます。張り子(はりこ)とは、型に和紙を重ねて形をつくる技法です。
一方で、民俗学者の島村恭則氏は研究所の取材で、土地による意味の違いを語りました。江戸では商売繁盛、蚕を育てる土地ではネズミ除けや蚕の守り神の意味が強かったといいます。同じ形でも、土地の生業によって招き猫に託す願いは違っていたのです。
手招きの所作と「顔を洗うと客が来る」言い伝え
招き猫の意味の核にあるのは、前足を上げて人を呼ぶ手招きの所作です。世界大百科事典には、猫の像を店先に置く風習の起こりについての説が載っています。
その説は、猫が前足で顔をぬぐう仕草を来客の前ぶれとみた中国の故事に、起こりを求めるものです。関東では同じ話が、豪徳寺で飼われていた猫の恩返しとして語られてきたとも記されています。
研究所の取材で美術史学者の山本陽子氏は、かわいらしさと縁起物の働きは分けて考えられるかもしれないと語りました。縁起物の姿には意味を伝える「コード」があるという山本氏の見方に立つと、手招きの所作こそが招き猫のコードだといえます。
ほかの縁起物と比べると、この特徴がよくわかります。だるまは達磨大師の座禅の姿を、熊手は落ち葉をかき集める農具を写した縁起物です。
それに対して招き猫は、身近な動物のしぐさそのものが意味の核になっています。
ご利益は時代とともに増えてきた
招き猫のご利益は、最初から決まっていたのではなく時代とともに増えてきました。観光庁の解説文は、招き猫の置物が登場したのは19世紀半ばと考えられるそうです。
左右の手の意味も、先に触れたとおり資料や地域によって説が分かれます。つまり招き猫の意味は、人々の願いに合わせて育ってきたものといえます。
だからこそ、古くからの意味と後から加わった意味を見分けながら、願いに合う一体を選ぶとよいのではないでしょうか。
意味から選ぶ招き猫
意味を知ったら、願い→手→色→持ち物の順に決めると迷いません。寺社で授かる招き猫だけは、その寺社が伝える意味を優先しましょう。
願いから手・色・持ち物を決める
叶えたい願いを一つに絞り、それに合う手と色を選ぶと決めやすくなります。手は言い伝え、色は研究所の定義にもとづいて、願いごとの組み合わせを表にまとめました。
願い別・招き猫の手と色と持ち物
| 願い | 手 | 色 | 持ち物 |
|---|---|---|---|
| 客を呼ぶ・商売繁盛 | 左手 | 白・三毛 | 小判 |
| 金運・仕事運 | 右手 | 金 | 小判 |
| 厄除け・家内安全 | ― | 黒 | ― |
| 病よけ | ― | 赤 | ― |
| 健康長寿 | ― | 緑 | ― |
| 恋愛 | ― | ピンク | ― |
| 人望・人気 | ― | 黄 | ― |
| 学業 | ― | 青 | ― |
表の組み合わせは言い伝えと研究所の定義にもとづく目安で、決まりではありません。ただし、豪徳寺の招福猫児をはじめ、寺社から授かった招き猫は、その寺社の教えを優先しましょう。
願いが二つ以上あるときは、手や色が異なる二体をそろえるのも一つの方法です。願いと置く場所をそろえて考えたい人は、選び方の記事も参考にしてください。
贈り物にするときは意味を添える
贈るときは、相手の願いに合う手と色を選び、その意味を一言添えると気持ちが伝わります。開業祝いなら客を招く左手、新築祝いなら家内安全の黒というように、場面から考えると選びやすいでしょう。
研究所が取材した梅月冨本人形園のように、節目の贈り物に名入れを施す窯元もあります。ただし、両手を上げた招き猫は「お手上げ」と受け取る人もいるため、相手によっては片手の一体が無難です。
フジコウセラミックの取材でも、引っ越しや結婚の祝いに招き猫を贈った話が語られました。招き猫は、暮らしの節目にそっと手渡される縁起物でもあるのです。
開業や新築など、場面に応じた贈り方の注意点は贈り物の記事にまとめました。
よくある質問
Q. 招き猫はどこで生まれたのですか?
A. 発祥には、豪徳寺の縁起にもとづく説や、江戸・両国の店に起こりを求める説など諸説があり、一つには決まっていません。観光庁の解説文は、置物の登場を19世紀半ばと考えています。
Q. 招き猫を置けばご利益はありますか?
A. 招き猫は福や客を招く願いを込めて飾られてきた縁起物で、置くだけで効き目が保証されるものではありません。願いを託す相棒として迎えるとよいでしょう。
Q. 陶器以外の招き猫もありますか?
A. あります。東京の今戸では土を焼いた今戸焼の招き猫が盛んにつくられ、関東などでは張り子の招き猫が達磨市で売られてきました。素材や産地によって顔つきや姿も変わるため、意味とあわせて素材の違いにも目を向けてみてください。
招き猫研究所がつくる招き猫「Luxen Maneki」
招き猫の意味が作り手と時代の中で育ってきたのなら、その一体を誰がどう作ったかも、選ぶ手がかりになるはずです。とはいえ、意味が作り手によって違うなら、何を基準に選べばよいのか迷う人もいるでしょう。
研究所が手がける「Luxen Maneki」は、日本六古窯の一つ、瀬戸焼で作る招き猫です。金彩は伝統窯の職人による手描きで、ご注文から約4〜6週間をかけて一点ずつ仕上げます。
お届けには特製の桐箱を用いています。湿気を吸ったり放したりする桐は、燃え進みにくい木でもあり、かつては金庫の中の箱にも使われました。
まとめ
招き猫の意味は、手・色・小判・首輪・形という姿の要素ごとに込められています。手は右がお金、左が人を招くと伝えられてきました。色については、研究所が白・三毛に開運招福を、金に金運・仕事運を託しました。
一方で、黄・緑・青などの色や持ち物の意味は、作り手や時代によって違います。そのため研究所は、病よけの赤と健康長寿の緑を分けるなど、8色の意味を定めました。
豪徳寺の招福猫児が小判を持たないように、寺社が独自の意味を伝える例もあります。
選ぶときは、願い→手→色→持ち物の順に決め、作り手の説明を確かめると迷いません。意味の由来を知ったうえで迎えた一体なら、目にするたびに託した願いを思い返せるでしょう。























