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招き猫の歴史・文化

インバウンドで招き猫は人気?訪日客が訪ねる寺社や産地を紹介

この記事でわかること

  • 2025年の訪日客は約4,268万人で、招き猫の店にも海外の客が増えた
  • 寺社・招き猫のまち・絵付け体験が、訪日客との主な接点
  • 寺社の招き猫は授与品で、落書きをしないよう英語でも呼びかけている
  • 黒い招き猫は、国や人によって受け止め方が分かれる

招き猫は、インバウンドの訪日客が寺社や産地、工房を訪ねて手に取る縁起物になっています。研究所の取材では、海外の客のほうが多いという店や、土産物店からの注文が増えたという窯元の声が聞かれました。

あわせて観光庁や日本政府観光局(JNTO)も、招き猫の寺社や産地を英語や中国語で紹介しています。訪日客がどこで招き猫と出会い、迎える側が何に気をつければよいのかを、公的な資料と取材をもとにまとめました。

インバウンドで招き猫が選ばれている現状

日本の店に並ぶ色とりどりの招き猫
店先に並ぶ招き猫/写真:Su–May(CC BY 2.0)

訪日客と招き猫の結び付きは、公的な外国語の案内と、店や窯元の現場の声の両方から確かめられます。数字と取材の両面から、いまの様子を整理しました。

インバウンドと招き猫の現状

  • 2025年の訪日客は約4,268万人で、統計のある1964年以降で最も多い
  • 観光庁やJNTOが、招き猫の寺社や産地を外国語で紹介している
  • 招き猫の店や窯元では、海外の客や土産物店からの注文が増えている

訪日客の増加と外国語の案内

日本を訪れる外国人は、2025年に約4,268万人と過去最多になりました。日本政府観光局(JNTO)の統計では42,683,301人で、観光庁も約4,268万人と公表しました。

訪日客が増えるなか、招き猫の寺社や産地を外国語で案内する資料も整ってきました。観光庁の多言語解説文データベースには、常滑の招き猫の解説が英語と中国語(繁体字・簡体字)で収められています。

同じデータベースには、大阪の住吉大社にある楠珺社(なんくんしゃ)の解説も英語と中国語で載っています。いずれも、地域の観光資源を外国人旅行者に伝えるために、国の事業で作られた文章です。

つまり招き猫は、国が外国語で紹介する観光の題材の一つになっています。訪日客が招き猫を目当てに寺社や産地を訪ねる土台は、公的な案内の面からも整ってきたといえるでしょう。

店や窯元の現場で起きていること

研究所の取材では、招き猫の作り手の現場にも、訪日客の増加がはっきり表れていました。

愛知県瀬戸市の窯元・フジコウセラミックは、訪日客の回復を実感しています。観光客が戻るのに合わせて、店からの仕入れの問い合わせが多くなったといいます。あわせて、訪日客が多く集まる場所に招き猫を飾りたいという相談も寄せられるようになりました。

瀬戸の窯元が語った現場の話は、取材記事で読めます。

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訪日客が招き猫に出会う場所

訪日客が招き猫に出会う場所は、寺社・招き猫のまち・絵付け体験の工房の3つに分けられます。どれも、外国語の案内や研究所の取材で訪日客の姿が確かめられた場所です。

招き猫を授かる寺社

寺社は、訪日客が招き猫を「授かる」体験ができる場所です。東京・世田谷の豪徳寺は公式サイトに英語版を設け、招き猫を奉納する招福殿などを英語で案内しています。

豪徳寺の招き猫「招福猫児(まねきねこ)」は、境内の寺務所で授かる授与品です。寺務所の受付は8:00〜15:00で、拝観時間とは異なります(2026年10月時点の公式サイト)。

大阪の住吉大社の楠珺社では、毎月最初の辰の日に参る「初辰まいり」で招福猫を授かれます。観光庁の英語解説も、左手と右手の2種類の招福猫があることを外国人向けに紹介していました。

ただし、授与の時間や品切れの有無は寺社ごとに異なり、変わることもあります。訪ねる前に公式サイトで最新の案内を確かめるよう、訪日客にも伝えておきましょう。

豪徳寺の授かり方と、全国の招き猫ゆかりの寺社は、次の記事で詳しく紹介しています。

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招き猫のまち・常滑と瀬戸

愛知県の常滑と瀬戸は、まち歩きで招き猫に出会える産地です。常滑駅からやきもの散歩道へ向かう「とこなめ招き猫通り」には、常滑ゆかりの作家が手がけた39体の招き猫が並びます。

通りの途中では、巨大な招き猫「とこにゃん」が塀の上から顔をのぞかせる姿も見られるでしょう。とこにゃんは頭と左手だけの姿ながら、高さ3.8m、幅6.3mあります。観光庁の英語解説は、人気の撮影場所として紹介していました。

一方の瀬戸は、磁器の招き猫を明治30年代から量産してきた産地です。

さらに毎年9月には「来る福招き猫まつり in 瀬戸」が開かれ、まち全体が招き猫で彩られます。

つまり、常滑は通りの作品、瀬戸は祭りが入口です。訪日客に案内するなら、常滑は散策、瀬戸は祭りの時期を軸に勧めると選びやすいでしょう。

常滑と瀬戸の招き猫の違いや見どころは、愛知の招き猫の記事で比べています。

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自分で色を塗る絵付け体験

絵付け体験は、訪日客が自分だけの招き猫を旅の記念に持ち帰れる場として紹介されています。

たとえばJNTOの英語記事は、広島県尾道市の宝土寺で、白い張り子の招き猫に色を塗る体験を紹介しています。訪日客向けの発信でも、絵付けは招き猫と触れ合う方法の一つとして扱われているのです。

そのため訪日客には、完成品の購入に加えて、絵付けという選択肢も伝えると喜ばれるでしょう。参加の条件や予約方法は、各施設の公式案内で確かめてください。

招き猫を買える場所の違いや、店ごとの選び方は、別の記事でまとめました。

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訪日客を招き猫で迎えるときの注意点

浅草の店の棚にずらりと並ぶ招き猫
浅草・仲見世の招き猫の店/写真:luisvilla(CC BY 2.0)

訪日客に招き猫を勧めたり販売したりするときは、色の受け止め方と、寺社の招き猫の扱いに気を配る必要があります。どちらも、文化の違いから誤解が生まれやすい点です。

色の受け止め方は国や人で違う

招き猫の色の中でも、黒は国や人によって受け止め方が大きく分かれる色です。

西洋には、朝に黒猫が道を横切ると不幸が起きるという俗信があると、世界大百科事典は紹介しています。

日本では、黒い招き猫は厄除けの意味で選ばれてきました。ところが、同じ色でも見る人の文化によって意味が逆に受け取られることがあります。

だからこそ黒を勧める際は、「厄除けの色」だと先に説明すると安心です。色ごとの意味を英語で伝える言い方は、英語の記事にまとめました。

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寺社の招き猫は授与品として扱う

寺社の招き猫は、店で買う品物ではなく信仰の場で授かる授与品です。豪徳寺は、招福猫児の体に落書きをしないよう、日本語と英語の両方で注意を呼びかけています。

そのお知らせで寺は、猫の置物は神聖な物だと書いていました。さらに境内での営利目的のガイド活動や撮影などは、事前に寺へ相談するよう、日英両方の文章で求めています。

熊手が酉の市で売られる縁起物として広まったのに対し、豪徳寺の招福猫児は寺務所で授かるものです。同じ縁起物でも、手に入れ方に信仰の場ならではの決まりがあります。

ただし、こうした決まりは訪日客には伝わりにくいものです。案内する側が「授かるもの」「納めるもの」という扱いを先に伝えておくと、寺社と訪日客の双方が気持ちよく過ごせるでしょう。

訪日客を迎える店や宿に招き猫を置くなら、産地や作り手を説明できる一体を選びたいものです。由来まで話せると、招き猫は客との会話のきっかけにもなります。

この招き猫研究所の運営会社は、株式会社日本招き猫総合研究所といいます。同社のブランド「Luxen Maneki」は、瀬戸焼の窯で職人が手描きの金彩を入れた招き猫です。

よくある質問

Q. 土産物店で招き猫が品切れになることはありますか?

A. 品切れになる場合もあるでしょう。瀬戸の窯元フジコウセラミックによると、在庫を持たずに必要な分だけ仕入れる取引が増えています。同社の話では、焼き上げの工程だけで最低4〜5日が必要です。そのため次に店頭へ並ぶまで、日数を要することもあります。

Q. 訪日客に招き猫の意味をどう伝えればよいですか?

A. 手招きのしぐさから説明すると伝わりやすいでしょう。JNTOの英語記事は、日本では手のひらを下に向けて招くと紹介しています。常滑の窯元は、右手をInvite money、左手をInvite peopleと英語で表していました。

Q. 豪徳寺で招き猫の写真を撮ってもよいですか?

A. 公式サイトのお知らせでは、営利目的のガイドや撮影などの商業利用は、事前に寺へ相談するよう求めています。個人で撮影するときも、現地の掲示や案内に従いましょう。招福猫児に落書きをしないことも求められています。

招き猫研究所がつくる招き猫「Luxen Maneki」

訪日客が由来まで知りたがる今、迎える側も、産地と作り方を語れる招き猫を置きたいところです。とはいえ、見た目が似た招き猫の中から、作り手の分かる一体を見つけるのは手間がかかります。

研究所の運営会社では、日本六古窯に名を連ねる瀬戸の焼き物で「Luxen Maneki」をつくっています。受注生産で伝統窯の職人が金彩を一体ごとに描くため、届くまでの期間は約4〜6週間です。

完成品は特製の桐箱に入れてお届けします。日本の産地の手仕事を紹介できる一体として、店や宿に迎えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

インバウンドの訪日客は2025年に約4,268万人となり、招き猫の店や窯元にも海外からの客や注文が増えています。観光庁やJNTOも、招き猫の寺社や産地を外国語で紹介しています。

訪日客が招き猫と出会うのは、豪徳寺などの寺社、常滑や瀬戸のまち、絵付け体験の工房です。迎える側は、黒い招き猫の受け止め方の違いや、寺社の招き猫が授与品であることを先に伝えましょう。

訪日客を案内するときは、授与の時間や品切れを公式サイトで確かめてから、行き先を勧めてください。