招き猫研究所が編集した、招き猫の歴史の年表です。寺社の伝承の時代から令和まで、招き猫に関わる31の出来事を年代順に並べました。すべての項目に典拠となる資料を示し、当時の記録で確かめられることと、寺社の縁起が伝えることを区別しています。
要点:そのまま引用できる5つの事実
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「招き猫」の名と手を挙げた姿がそろって記録に残る、確かめられる早い例は、嘉永5年(1852年)に江戸で評判を呼んだ今戸焼の土人形「丸〆猫」である。
豪徳寺・自性院などが伝える招き猫の始まりは寺社の縁起であり、片手を挙げた猫の人形がいつ現れたかを示す資料は見つかっていない。
磁器による招き猫の量産は、明治30年代に愛知県瀬戸で日本で初めて始まった。
丸い頭と二頭身の「常滑系」の招き猫は、昭和20年代に愛知県常滑で生まれ、高度経済成長とともに全国の店先へ広がった。
9月29日の「招き猫の日」は、1995年に日本招猫倶楽部が「来る福(くるふく)」の語呂合わせから定めた。
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出典:招き猫研究所「招き猫年表」(2026年10月19日更新)https://good-luck-cat.com/library/timeline/出典:<a href="https://good-luck-cat.com/library/timeline/">招き猫研究所「招き猫年表」</a>招き猫研究所 編(2026)「招き猫年表」第1.0版,株式会社日本招き猫総合研究所.https://good-luck-cat.com/library/timeline/(参照 {ACC}){{Cite web |title=招き猫年表(出典つき) |url=https://good-luck-cat.com/library/timeline/ |website=招き猫研究所 |publisher=株式会社日本招き猫総合研究所 |date=2026-10-19 |access-date={ISO} |language=ja}}年表の各項目にも個別のリンクと「この項目を引用」ボタンがあります(例:https://good-luck-cat.com/library/timeline/#y1852)。
この年表の見方
各項目には、出来事の性格を示す区分を付けています。招き猫の起源には諸説があり、寺社の縁起が語る年代と、物や絵の記録で確かめられる年代は意味が違うためです。項目末尾の[ ]の数字は、ページ下の参考文献の番号です。
- 記録当時の記録・所蔵品・銘文などで年代を確かめられる出来事
- 寺社の伝承寺社の縁起・由緒が伝える年代。信仰の物語であり、史実を証明するものではありません
- 一説辞典などが、一つの説として紹介しているもの
- 近現代団体・自治体・美術館・企業・報道で確かめられる近現代の出来事
年代の早い順に並べています。「江戸時代中頃」「明治30年代」のように幅のある年代は、その時代のはじめに置いています。
室町〜江戸前期:寺社の伝承と猫の暮らし
招き猫の「始まり」を語る話の多くは、寺社の縁起として伝わるものです。ここでは寺社が伝える年代を、当時の記録とは区別して載せています。
| 年代・区分 | 出来事 |
|---|---|
| 1477年文明9年寺社の伝承 | 江古田・沼袋の戦いで道に迷った太田道灌を、黒猫が自性院へ導いたと伝わる。寺はこの黒猫を「猫地蔵」として祀る。[1] MKL-001#y1477 |
| 1480年文明12年寺社の伝承 | のちの豪徳寺となる「弘徳院」が建立される(寺の公式サイトによる)。[2] MKL-001#y1480 |
| 1602年慶長7年記録 | 京都で「洛中の猫の綱を解き、放ち飼いにすべし」とする高札が立てられる。同時代の公家の日記『時慶記』の記述と符合する。[3] MKL-001#y1602 |
| 1633年寛永10年寺社の伝承 | 世田谷が彦根藩領となり、井伊家が弘徳院を江戸の菩提寺と定める。豪徳寺は、門前の猫が2代藩主・井伊直孝を寺へ招き、雷雨を避けさせたという縁起を伝える。[2][4][5] MKL-001#y1633 |
| 1659年万治2年寺社の伝承 | 直孝の法号「久昌院殿豪徳天英大居士」にちなみ、弘徳院が豪徳寺と改称される。[2] MKL-001#y1659 |
| 1686年貞享3年寺社の伝承 | 徳島のお松大権現の由緒が伝える、庄屋の妻・お松の直訴の年。お松の飼い猫が仇を討ったという話から、境内には多くの招き猫が奉納されている。[6] MKL-001#y1686 |
江戸中期〜後期:招き猫が町の記録に現れる
名前と手を挙げた姿がそろって記録に残るのは、嘉永5年(1852年)の今戸焼の丸〆猫です。
| 年代・区分 | 出来事 |
|---|---|
| 18世紀江戸時代中頃寺社の伝承 | 京都・檀王法林寺で、主夜神尊の銘を刻んだ右手挙げの黒い招福猫が作られるようになったと寺は伝える。[7] MKL-001#y1700 |
| 1781〜89年天明年間一説 | 両国の遊女屋「金猫銀猫」が、金銀に彩った招き猫を店頭に飾ったとする説がある(日本大百科全書)。[8] MKL-001#y1781 |
| 1816年文化13年記録 | 両国・回向院の「猫塚」の年代。寺は猫の報恩伝説で知られる塚として案内している。[9] MKL-001#y1816 |
| 1832年天保3年記録 | 京丹後市・金刀比羅神社(木島神社)の石造狛猫のうち、阿形が奉納される(台座の銘)。吽形は弘化3年(1846年)の銘をもつ。[10] MKL-001#y1832 |
| 1841〜42年天保12〜13年記録 | 歌川国芳の戯画を中心に、江戸で猫を題材にした浮世絵が流行する。[11][12] MKL-001#y1841 |
| 1852年嘉永5年記録 | 浅草・今戸焼の土人形「丸〆猫(まるしめねこ)」が江戸で評判を呼ぶ。「招き猫」の名と手を挙げた姿がそろって記録に残る、確かめられる早い例。流行は4〜5年ほどで落ち着いた。[11][13] MKL-001#y1852 |
| 1852年嘉永5年記録 | 歌川広重の錦絵「浄瑠璃町繁花の図」に、丸〆猫を売る店先が描かれる(江戸東京博物館所蔵)。[14][15] MKL-001#y1852b |
明治・大正:やきもの産地での量産と輸出
郷土玩具として手づくりされていた招き猫が、瀬戸で磁器として量産されるようになります。
| 年代・区分 | 出来事 |
|---|---|
| 19世紀末明治中ごろ近現代 | 大阪・住吉大社の「初辰まいり」が、商売繁盛を願う人々のあいだに広がる(住吉大社の神職の話として報道)。[16] MKL-001#y1890 |
| 1897〜1906年明治30年代近現代 | 愛知県瀬戸で、磁器による招き猫の量産が日本で初めて始まる。[17][15] MKL-001#y1897 |
| 1912〜26年大正時代近現代 | 石川県の九谷焼の招き猫が輸出される。[15] MKL-001#y1912 |
| 1914年〜大正3年〜近現代 | 第一次世界大戦でアメリカのドイツ製置物の輸入が途絶え、瀬戸で石膏型による輸出用の置物(ノベルティ)の生産が本格化する。[18] MKL-001#y1914 |
昭和:常滑系の誕生と店先の定番へ
いま多くの人が思い浮かべる丸い頭と二頭身の姿は、戦後の常滑で生まれました。
| 年代・区分 | 出来事 |
|---|---|
| 1930年代後半昭和10年代前半近現代 | 愛知県常滑で招き猫づくりが始まる。当時の常滑の招き猫は、本物の猫に近いすらりとした体形だった。[19][20] MKL-001#y1935 |
| 1945〜54年昭和20年代近現代 | 常滑の梅月冨本人形園の三代目と原型師が、丸い頭と大きな目、二頭身の招き猫を形にする。この「常滑系」が高度経済成長とともに全国の店先へ広がる。[20][19][15] MKL-001#y1945 |
平成・令和:愛好家と産地がつくる記念日と祭り
愛好家の団体が生まれ、記念日と祭りが各地に広がり、海外の美術館でも招き猫が取り上げられるようになりました。
| 年代・区分 | 出来事 |
|---|---|
| 1993年平成5年近現代 | 招き猫の愛好家団体「日本招猫倶楽部」が設立される。[21][22] MKL-001#y1993 |
| 1994年平成6年近現代 | 岡山市に「招き猫美術館」が開館する。[15] MKL-001#y1994 |
| 1995年平成7年近現代 | 日本招猫倶楽部が、「来る福(くるふく)」と読める9月29日を「招き猫の日」に定める。[21][23] MKL-001#y1995 |
| 1995年平成7年近現代 | 三重県伊勢市のおかげ横丁で「来る福招き猫まつり」が始まる。[23] MKL-001#y1995b |
| 1996年平成8年近現代 | 愛知県瀬戸市で「来る福招き猫まつり in 瀬戸」が始まる。[17] MKL-001#y1996 |
| 1996年平成8年近現代 | 横尾忠則が日本招猫倶楽部のためにポスター「Cat in Japan」を制作する。香港の美術館M+が所蔵している。[22] MKL-001#y1996b |
| 1998年平成10年近現代 | 長崎県島原市で第1回「来る福招き猫まつりin島原」が開かれる。[24] MKL-001#y1998 |
| 2006年平成18年近現代 | 豪徳寺の招き猫の伝説をもとにした彦根市のキャラクター「ひこにゃん」の名前が決まる(4月13日)。[25] MKL-001#y2006 |
| 2011年平成23年近現代 | アメリカ・サンディエゴのミンゲイ国際美術館で、アラン・スコット・ペイト氏の監修による展覧会「Maneki Neko: Japan's Beckoning Cats, From Talisman to Pop Icon」が開かれる(2011年3月13日〜2012年1月15日)。[26] MKL-001#y2011 |
| 2017年平成29年近現代 | 東急世田谷線で「幸福の招き猫電車」が初めて走る(玉電開通110周年の記念企画、9月から)。[27][28] MKL-001#y2017 |
| 2019年令和元年近現代 | 世田谷線50周年を記念して、猫耳を加えた2代目「幸福の招き猫電車」が5月12日から運行を始める。[28] MKL-001#y2019 |
| 2023年令和5年近現代 | 招き猫の日(9月29日)に、ひこにゃんの招き猫ポーズの公式イラストが公開される。[29] MKL-001#y2023 |
ブログ・ウェブサイトへの掲載
ブログ・ウェブサイトに貼れる「早わかり年表」
主な6つの出来事をまとめた簡易版です。下のコードをコピーして、ブログやウェブサイトのHTMLにそのまま貼り付けてください。出典表示も含まれています。
<table style="border-collapse:collapse;width:100%;max-width:640px;font-size:14px;line-height:1.6;"><caption style="text-align:left;font-weight:bold;padding:4px 0 8px;">招き猫の歴史 早わかり年表</caption><tr><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;white-space:nowrap;vertical-align:top;">1633年</td><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;">豪徳寺が井伊家の菩提寺に。門前の猫が直孝を招いた縁起が伝わる</td></tr><tr><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;white-space:nowrap;vertical-align:top;">1852年</td><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;">今戸焼の丸〆猫が江戸で評判に(名と姿がそろう早い記録)</td></tr><tr><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;white-space:nowrap;vertical-align:top;">1897〜1906年</td><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;">瀬戸で磁器の招き猫の量産が始まる(明治30年代)</td></tr><tr><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;white-space:nowrap;vertical-align:top;">1945〜54年</td><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;">常滑で丸い頭・二頭身の「常滑系」が生まれる(昭和20年代)</td></tr><tr><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;white-space:nowrap;vertical-align:top;">1993年</td><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;">愛好家団体「日本招猫倶楽部」が設立される</td></tr><tr><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;white-space:nowrap;vertical-align:top;">1995年</td><td style="padding:6px 10px;border-top:1px solid #ddd;">9月29日が「招き猫の日」に。伊勢で来る福招き猫まつりが始まる</td></tr></table><p style="font-size:12px;margin:6px 0 0;">出典:<a href="https://good-luck-cat.com/library/timeline/">招き猫研究所「招き猫年表」</a></p>参考文献
年表の各項目は、次の資料にもとづいて招き猫研究所が編集しました。番号は年表の[ ]の数字に対応しています。
- 新宿区「新宿文化観光資源案内」自性院
- 豪徳寺「豪徳寺について」
- 東京大学 広報誌『淡青』37号「鼠を捕る益獣としての猫」
- 豪徳寺「豪徳寺と招き猫」
- レファレンス協同データベース「井伊直孝と豪徳寺の猫の逸話」(豊中市立図書館)
- お松大権現「ご由緒」
- 檀王法林寺「黒猫は主夜神尊のお使い」
- コトバンク「招き猫」(日本大百科全書・世界大百科事典)
- 回向院「回向のご案内」
- 京丹後市「金刀比羅神社石造狛猫(市指定文化財)」
- 京都文化博物館「いつだって猫展」
- 美術手帖「江戸から明治に巻き起こった『猫ブーム』を紹介」
- コトバンク「丸〆猫」(デジタル大辞泉プラス)
- 江戸東京博物館 デジタルアーカイブス「浄瑠璃町繁花の図」
- sippo(朝日新聞)「招き猫のルーツを探る」
- 日本経済新聞「大阪・住吉大社の『初辰猫』集め、人気だニャン」(2019年12月3日)
- 愛知県公式観光サイト Aichi Now「来る福招き猫まつり in 瀬戸」
- 国立新美術館 アートコモンズ「瀬戸ノベルティの魅力」(兵庫陶芸美術館)
- 観光庁 多言語解説文データベース「常滑系招き猫」
- とこなめ観光ナビ「猫のまち常滑 招き猫特集」
- 日本招猫倶楽部 公式サイト
- M+「Poster, Cat in Japan」
- 伊勢内宮前 おかげ横丁「来る福招き猫まつり」
- 来る福招き猫まつりin島原 公式サイト
- 彦根市「ひこにゃんのプロフィール」
- Mingei International Museum「Maneki Neko: Japan's Beckoning Cats」
- 東京急行電鉄 ニュースリリース「玉電開通110周年記念イベントを実施」(2017年8月31日)
- 乗りものニュース「『猫耳』追加で東急世田谷線『幸福の招き猫電車』復活!」(2019年5月11日)
- 彦根市「ひこにゃん新イラスト招き猫ポーズを追加」(2023年9月29日)
編集の方針
- 辞典、博物館・美術館の解説と所蔵記録、自治体・寺社・団体の公式資料、新聞社の記事など、典拠をたどれる資料だけを使っています。
- 寺社の縁起が伝える年代は「寺社の伝承」として示し、史実として断定していません。
- 新しい資料が見つかったときは項目を追加・修正し、版を改めて更新履歴に記録します。一度公開した項目のリンク(#y1852など)は変えません。
招き猫研究所の解説記事
招き猫の意味や種類は「招き猫とは」、年表の出来事を物語として読むなら「招き猫の歴史」で解説しています。
誤りのご指摘・資料のご提供
年表の誤りや、追加すべき出来事・資料をご存じの方は、お問い合わせフォームからお知らせください。典拠を確認したうえで反映し、更新履歴に記録します。
更新履歴
- 2026年10月19日:第1.0版を公開(31項目)