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招き猫の歴史・文化

住吉大社の招き猫とは?楠珺社の初辰まいりや招福猫48体の集め方を解説

この記事でわかること

  • 招き猫は楠珺社で初辰の日に授かる招福猫
  • 奇数月は左手、偶数月は右手の小猫を集める
  • 48体で中猫、24年で左右の大猫がそろう
  • 2026年の残る初辰日は11月2日と12月8日

大阪の住吉大社で招き猫を授かれるのは、境内の楠珺社(なんくんしゃ)です。毎月最初の辰の日の「初辰まいり」で小さな招福猫を1体ずつ受け、48体そろうと一回り大きな猫に替えてもらえます。

左右どちらの手の猫を受けるのか、いつ行けばよいのかは、月によって変わります。研究所は2026年10月10日に住吉大社の公式サイトで確かめ、集め方と日程、受付時間を整理しました。

住吉大社の招き猫(招福猫)の早見表

住吉大社の本殿と境内
住吉大社の境内/写真:Saigen Jiro(CC0)

住吉大社の招き猫は、楠珺社で授かる「招福猫(しょうふくねこ)」という授与品です。まず授かる場所や日、左右の決まりを一覧で押さえておきましょう。

住吉大社の招福猫の基本情報(2026年10月時点・公式サイト)

項目内容
授かる場所住吉大社の境内にある楠珺社(通称「はったつさん」)
授かる日毎月の初辰日(その月で最初の辰の日)
手の左右奇数月は左手、偶数月は右手を挙げた小猫
集める数小猫48体(4年)で中猫1体と交換
初辰日の楠珺社の受付午前6時〜午後3時45分
楠珺社の祈祷料2,000円(令和8年9月からの改定後の額)
最寄駅南海本線「住吉大社駅」から東へ徒歩3分

出典:住吉大社「初辰まいり」
出典:住吉大社「アクセス」

なお、招福猫そのものの初穂料は、公式サイトの授与品のページに載っていません。そのため金額は当日、楠珺社で確かめる必要があります。

ほかの寺社と比べたいときは、全国の招き猫ゆかりの寺社を地域別にまとめた記事が役立つでしょう。

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楠珺社の招福猫とは

楠珺社は住吉大社の末社のひとつで、商いと家庭の繁栄を祈る神社です。ここで授かる招福猫は、左右の手で招くものが分かれています。

楠珺社と招福猫の要点

  • 樹齢1000年を超えるクスノキへの信仰から始まった神社
  • 招福猫は左手が人招き、右手がお金招き
  • 左右の違いを月の奇数・偶数で受け分ける

楠の神木から生まれた「はったつさん」

楠珺社のはじまりは、境内にそびえる樹齢が1000年を超える楠(クスノキ)です。住吉大社の公式サイトによると、人々はこの大樹の霊力に祈り、のちに根元の祠に神様を祀るようになりました。

つまり楠珺社は、神木から神社へと発展したと伝えられる社です。祭神は宇迦之御魂神で、観光庁の多言語解説文でも、稲荷神のひとつである農業の神と説明されています。

楠珺社は「はったつさん」の通称で親しまれ、昔から商いを営む人々に信仰されてきました。例祭は5月の初辰日で、公式サイトはこれを楠珺社の年に一度の大祭としています。

そのため5月の初辰まいりは、ほかの月よりも大きな祭りと重なります。大祭では御神酒や幟(のぼり)のお供えを各社で受け付けており、幟の取り替えも大祭の日です。

左手は人招き、右手はお金招きの土人形

楠珺社の招福猫は、左手を挙げた猫が人招き、右手を挙げた猫がお金招きとされています。観光庁の多言語解説文によれば、招福猫は招き猫の土人形です。

公式サイトでは、左手に家内安全、右手に商売発達(商売繁昌)のご利益があると記されています。一般に知られる「右手はお金、左手は人」と同じ分け方に、家庭と商いの願いを重ねた形です。

一方で、研究所が調べた1997年刊行の縁起物の図鑑では、楠珺社の左右とご利益が逆に載っていました。今回あらためて公式サイトを確かめても左手が家内安全、右手が商売発達のため、授かる招き猫は寺社の案内に従うのが確かです。

楠珺社では、招福猫のほかに初辰熊手や初辰宝船なども授けています。ただし毎月1体ずつ受け、左右を替えながら大きな猫へ替えていく仕組みは、招福猫だけに用意された形です。

左右の手の意味が生まれた背景は、手の違いを扱った記事で詳しく整理しました。

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神社で授かる招福猫は、毎月の参拝を重ねた証として家に祀るものです。それとは別に、居間や棚で長く眺める一体を、産地や作り手から選ぶ人もいるのではないでしょうか。

Luxen Manekiは、株式会社日本招き猫総合研究所(招き猫研究所の運営会社)のブランドです。瀬戸焼(愛知県瀬戸市)の伝統窯で、職人が金の彩色を一体ごとに手で描き入れています。

招き猫48体の集め方と中猫・大猫への交換

住吉大社方面へ続く参道と石灯籠
住吉大社へ向かう参道/写真:そらみみ(CC BY-SA 4.0)

楠珺社の招福猫は、小猫を48体集めると中猫、さらに大猫へと替えていく決まりです。左右の大猫がそろうまでには、24年かかります。

奇数月は左手、偶数月は右手の小猫を1体ずつ

小猫を授かるのは、毎月の初辰日に1体ずつです。公式サイトは、奇数月には左手招きの小猫で家内安全を、偶数月には右手招きの小猫で商売繁盛を祈るよう案内しています。

たとえば11月は奇数月なので左手、12月は偶数月なので右手の猫を受けます。1年のうち奇数月と偶数月は6つずつのため、48体のうち左手と右手は24体ずつになる計算です。

つまり4年間通うと、家内安全と商売繁盛の願いが半分ずつ積み重なります。どちらか一方の願いだけを集めるのではなく、家と商いの両方を育てていく考え方といえるでしょう。

48体で中猫、12年目に大猫、24年で大願成就

小猫が48体そろったら、一回り大きな中猫1体と交換してもらえます。楠珺社の公式ページによると、中猫にも左手と右手の2種類があります。

楠珺社の招福猫の集め方(住吉大社公式サイトの記載より)

時期集めたもの交換・到達
4年小猫48体中猫1体と交換
8年中猫2体小猫集めを続ける
12年目中猫2体+小猫48体大猫1体と交換
24年左手と右手の大猫大願成就

大猫に12年目とあるのは、中猫2体に8年、その後の小猫48体に4年かかるためです。そのため大猫を左右そろえるには、同じ道のりを2回たどるわけです。

公式サイトは、自らの努力で年月をかけて小猫から大猫へと呼びかけています。一度に大きな猫を求めるのではなく、通い続けた月日の分だけ猫が育っていきます。

集めた小猫は玄関や居間に祀る

授かった小猫は、玄関や居間に祀るのが公式サイトの案内です。毎月1体ずつ増えていくため、4年目には48体が家に並ぶ計算です。

そして48体がそろったら、満願成就の証として小猫を神社へ納め、中猫と交換します。つまり小猫は手元に置き続けるものではなく、次の段階へ進むために納めるものです。

同じ初辰まいりでは、大歳社で授かる大歳守も48体で満願守と交換できます。ただし大歳守は小石に「大」と書いたお守りで、ご祈祷を受けた人に授けられるものです。

48体で区切る考え方は同じでも、左右の手を月ごとに受け分けるのは招福猫だけです。並べる場所を決めてから集めはじめると、4年分の小猫を無理なく祀れるでしょう。

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初辰まいりの回り方と2026年の初辰日

初辰まいりは、境内の4つの社を決まった順にめぐるお参りです。招福猫を授かる楠珺社は、その2番目にあたります。

種貸社・楠珺社・浅澤社・大歳社の順にめぐる

初辰日には、種貸社→楠珺社→浅澤社→大歳社の順に4社をお参りするのが習わしです。公式サイトは、1番で願いの種を授かり、4番で願いを成就させてもらうという流れで紹介しています。

初辰まいりの4社(住吉大社公式サイトの記載より)

順番社祈る願いご利益
1番種貸社(たねかししゃ)願いの種を授かる資金調達・子宝・知恵
2番楠珺社(なんくんしゃ)願いの発達を祈る商売発達・家内安全
3番浅澤社(あさざわしゃ)芸事や美容の願い芸能上達・女性守護
4番大歳社(おおとししゃ)願いを成就させる集金満足・心願成就

あわせて、種貸社・楠珺社・大歳社でご祈祷を受けると、一願意につき「稲種引換券」が1枚もらえる仕組みです。次の初辰日にこの券を持って4社をめぐると、籾種、稲穂と順に交換し、最後の大歳社で御神米を授かれます。

公式サイトはこれを「みのりまいり」と呼び、初辰まいりの日だけおこなうとしています。招福猫を集める月参りに、稲の実りになぞらえた巡拝を重ねられるわけです。

2026年の残りの初辰日は11月2日と12月8日

住吉大社の公式サイトには、2026年(令和8年)の初辰日が載っています。このうちこれから訪ねられるのは、11月2日(月)と12月8日(火)です。

2026年(令和8年)の初辰まいり日(2026年10月10日時点・公式サイト)

月日付備考
1月18日(日)二の辰
2月11日(水・祝)
3月7日(土)
4月12日(日)
5月6日(水・振替休日)初辰大祭
6月11日(木)
7月5日(日)
8月10日(月)
9月3日(木)
10月9日(金)
11月2日(月)
12月8日(火)

初辰日は十二支で日を数えて決まるため、月によって日付が変わり、曜日も平日だったり週末だったりします。1月だけは表に「二の辰」と記されており、その月で2番目にめぐってくる辰の日が当てられています。

2027年の日程は、2026年10月10日の時点では公式サイトに載っていません。そのため年明け以降に訪ねる場合は、出かける前に公式サイトの一覧を確かめましょう。

初辰日の受付時間と祈祷料(2026年10月時点)

初辰日の楠珺社は、午前6時に受付を始め、午後3時45分に締め切ります。住吉大社は普段の10月〜3月は午前6時30分に開門しますが、初辰日は午前6時の開門です。

初辰日の受付時間と祈祷料(2026年10月時点・公式サイト)

社初辰日の受付時間祈祷料
種貸社午前6時〜午後3時30分1,500円(令和8年9月から)
楠珺社午前6時〜午後3時45分2,000円(令和8年9月から)
浅澤社午前6時〜午後4時ご祈祷は大歳社で受付
大歳社午前6時〜午後4時1,000円

出典:住吉大社「初辰まいり」
出典:住吉大社「アクセス」

公式サイトには、種貸社と楠珺社の祈祷料を令和8年(2026年)9月から改めると記されています。表の金額は改定後のもので、改定前は種貸社1,100円、楠珺社1,500円でした。

一方で、招福猫の初穂料は公式サイトに載っていません。2019年の日本経済新聞の記事は小猫を500円で授かったと伝えていますが、現在の金額は楠珺社で確かめてください。

初辰日以外の楠珺社は午前9時から開いており、初辰まいりのページでは午後3時55分まで参拝できると案内されています。ただし、普段の日に招福猫を授かれるかどうかは公式サイトに記載がありません。

初辰まいりと招き猫集めの歴史

鳥居清満「艶姿七福神・大黒」。七福神の大黒を題にした錦絵
鳥居清満「艶姿七福神・大黒」江戸時代・18世紀(東京国立博物館蔵)/出典:ColBase

初辰まいりで招き猫を集める習わしは、大阪の商人のあいだで広まったと伝えられています。手がかりは、報道に残る神職の話と公式サイトの説明の2つです。

明治の商人から広まったと伝わる初辰まいり

2019年の日本経済新聞の記事は、住吉大社の神職の話として、初辰まいりが明治中ごろに広がったと伝えています。記事によると、大阪の花街・新町に店を構えた商人が、毎月最初の卯の日に参拝していました。

その商人は参るたびに周りの土産店で招き猫を買い集め、店も繁盛したといいます。これをまねた旦那衆や芸妓が続き、商売や芸の上達を祈る参拝が広まったという話です。

住吉大社では卯の日が大切な祭事日で、公式サイトも5月の初卯日に創立記念日を祝う卯之葉神事を案内しています。記事の見立てでは、増えた参拝者を分けるために翌日の初辰日も縁日にしたようです。

さらに同じ記事は、昭和初期に土産店が減り、神社が猫を授けるようになったと伝えています。ただしこうした経緯は1つの報道にもとづく話のため、確かな年代としてではなく伝承として読むのが適切でしょう。

「発達」と「始終発達」の語呂合わせ

初辰まいりの縁起は、「初辰(はったつ)」を「発達」にかけた語呂合わせにあります。毎月の初辰に参れば商いや家庭が発達すると、ゲンをかついで信仰されてきました。

48という数も同じ考え方から来ており、「四十八辰」と書いて「しじゅうはったつ」と読み、「始終発達」に通じさせています。公式サイトの説明では、4年間お参りを続けられること自体が、無事に発達している証です。

だからこそ、招福猫の数は願いの数ではなく、通い続けた月の数を表します。同じ楠珺社の初辰熊手が正月期に限って授けられるのに対し、招福猫は毎月の積み重ねを形に残す縁起物です。

なお前述の記事では、大阪の民俗学研究会の代表が、語呂合わせを商人の話術のひとつと位置づけています。語呂で縁起を担ぐ商都の気風が、48体の仕組みを支えてきたといえるでしょう。

招き猫が商いの縁起物とされてきた理由は、商売繁盛を扱った記事でまとめています。

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住吉大社へのアクセス

住吉大社は大阪市住吉区にあり、南海本線の住吉大社駅から歩いて3分で着きます。初辰日は朝から参拝者が多いため、電車で向かうと動きやすいでしょう。

最寄駅は南海本線の住吉大社駅

住吉大社の最寄駅は、南海本線「住吉大社駅」で、東へ徒歩3分です。南海高野線「住吉東駅」からは西へ徒歩5分です。阪堺線「住吉鳥居前駅」からは歩いてすぐ着きます(公式サイトの案内・2026年10月時点)。

所在地は大阪市住吉区住吉2-9-89です。阪堺線は阪堺電気軌道が運行する路面電車です。

車の場合は、約200台が入る参拝者駐車場を使えます(普通車30分200円)。ただし12月31日〜1月3日は閉鎖され、1月4日〜2月初旬は料金が異なるため、年明けの初辰まいりは電車が確実でしょう。

住吉大社への行き方(2026年10月時点・公式サイト)

交通最寄り所要時間
南海本線住吉大社駅東へ徒歩3分
南海高野線住吉東駅西へ徒歩5分
阪堺線(路面電車)住吉鳥居前駅徒歩すぐ
車参拝者駐車場(約200台)普通車30分200円

出典:住吉大社「アクセス」
出典:住吉大社「よくある質問」

京都の檀王法林寺など、住吉大社とあわせて回れる関西の招き猫の寺社は、関西の記事で紹介しています。

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よくある質問

Q. 初辰日に住吉大社へ行けないときはどうすればよいですか?

A. 住吉大社の公式サイトは、初辰日にお参りできない人に、その月の二の辰か三の辰の日に参拝するよう案内しています。二の辰は月で2番目、三の辰は3番目の辰の日です。日付は月ごとに変わるため、公式サイトの案内を確かめてから出かけてください。

Q. 住吉大社に招き猫のお守りはありますか?

A. 楠珺社の授与品には、本水晶招福猫守やラインストーン招福猫守、クリスタル招福猫守、福猫御守があります。公式サイトに載るご利益は、開運招福や除災です。置物の招福猫とは別に、身につけて持ち歩けるのが特徴でしょう。

Q. 初辰まいりのおもかる石とは何ですか?

A. 大歳社の境内にある、おいとしぼし社の石です。願いを占う石として知られ、公式サイトによると初辰日には行列ができるほどにぎわいます。初辰まいりの4番目に大歳社を参るときに、あわせて訪ねる人が多い場所です。

Q. 住吉大社の招き猫は通販で授かれますか?

A. 2026年10月時点で、住吉大社の公式サイトの授与品のページに、招福猫を通販で授ける案内は見当たりません。招福猫は初辰日に楠珺社を参拝して1体ずつ授かるものです。通販で見かける品が神社から授けられたものかどうか、公式サイトの情報だけでは判断できません。

招き猫研究所がつくる招き猫「Luxen Maneki」

住吉大社の招福猫は、月ごとに参拝を重ねた日々を形にしていく縁起物です。家にはもう一体、由来や作り手まで語れる招き猫を迎えたいと思いませんか。

株式会社日本招き猫総合研究所のブランド「Luxen Maneki」は、瀬戸焼の伝統窯でつくる招き猫です。受注生産でつくるので、手元に届くのは注文の約4〜6週間後になります。

一体ごとに納めるのは特製の桐箱です。桐という木は、湿気を吸ったり放したりして中の湿度の変化をやわらげ、火がついても燃え進みにくい性質をもっています。

まとめ

住吉大社の招き猫は、楠珺社で毎月の初辰日に授かる招福猫です。奇数月は左手で家内安全を、偶数月は右手で商売繁盛を祈ります。

小猫を48体集めると中猫に、中猫2体と小猫48体で大猫に替わり、左右の大猫がそろうまで24年かかります。数は願いの多さではなく、通い続けた月日の長さを表すものです。

2026年に残る初辰日は11月2日と12月8日で、楠珺社の受付は午前6時から始まります。日程と初穂料は変わることがあるため、出かける前に公式サイトを確かめましょう。