この記事でわかること
- 風水は、地形と気から住まいや墓の場所を選ぶ考え方
- 日本の方角の俗信は、風水より家相として広まった
- 方角と色・運を結ぶ組み合わせは、辞典類に記述がない
- 取り入れるなら、置き場所の基本を押さえたうえで楽しむ
風水で招き猫を置く場所に、決まった正解はありません。風水はもともと、地形や方位から都市や住まい、墓の場所を選ぶ中国の考え方で、置物の置き場所はその応用のごく一部です。
では、西に金色、南西にピンクといった組み合わせは、風水のどこに書かれているのでしょうか。招き猫の解説記事には多くの組み合わせが並ぶものの、出典を示したものは見当たりませんでした。
風水という考え方の出どころを知っておけば、根拠の弱い説に振り回されずに、楽しめる範囲で取り入れられます。辞典をもとに、風水と家相の由来から整理しました。
風水の考え方と招き猫の置き場所
招き猫を風水で置くという話は、中国の風水と日本の家相が混ざって語られがちです。まずは辞典で、風水がどのような考え方なのかを確かめておきましょう。
風水で押さえたいこと
- 風水は、地形と気から都市・住まい・墓を選ぶ考え方
- 置物の置き場所は「室内インテリア風水」という一部分
- 日本では風水の体系より、家相として広まった
風水は地形と気から住まいや墓を選ぶ考え方
風水は、地形や方位、気の流れから、住まいや墓によい場所を選ぶ考え方です。デジタル大辞泉は風水説を、都市や住宅、墳墓を造る際に地勢や方位を考える、中国の伝統的な自然観と説明しています。
百科事典マイペディアによれば、風水は3世紀ごろに中国で体系化されたと考えられています。世界大百科事典も、晋の時代の人物である郭璞(かくはく)を、風水の開祖として挙げました。
日本大百科全書は、風水の判断の対象を、墓をみる陰宅風水と、住まいをみる陽宅風水に分けています。風水が広まってからは、墓のほうが重んじられてきました。住まいをみる陽宅風水は、さらに室内のインテリア風水と外観のエクステリア風水に分かれます。
つまり、招き猫をどこに置くかは「室内インテリア風水」にあたる話で、風水全体から見ればごく一部です。土地や墓を選ぶ本来の風水とは、扱う範囲がまったく違うことがわかるでしょう。
日本では風水より家相として広まった
日本で方角の吉凶として広まったのは、風水の体系より家相でした。世界大百科事典は、日本には易学や陰陽五行説の影響が強い一方、朝鮮のような風水思想の体系は成立しなかったと述べています。
家相は、家の位置や方角、構造から住む人の吉凶を判断する考え方で、近世以降に一般の人々へ広まりました。都づくりで知られる四神相応も、東に流水、西に大道、南に窪地、北に丘陵がある地形を求めたものです。置物の向きを定めた話ではありません。
あわせて、風水と結びつけて語られる話も、資料をたどると別の説明が有力なことがあります。横浜中華街の街路が周囲に対して斜めな理由について、横浜市中央図書館は基本資料が「あぜ道説」をとっていると回答しました。
同じ回答によれば、風水思想にもとづくのは1970年代に設けられた東西南北の牌楼門です。だからこそ、風水と招き猫を結ぶ話も、どこまでが出典のある考え方かを分けて読むと迷いません。
東・南・西・北に配されてきた四神や色、方角の吉凶が広まった経緯は、方角の記事で表にまとめています。
風水で招き猫を置く場所の考え方
風水を招き猫の置き場所に取り入れるなら、出典のある考え方と、確認できない説を分けて考えましょう。そのうえで、招き猫の本来の置き場所である入口を基本にすると、方角に振り回されずに済みます。
方角と色・運の組み合わせは出典を確認できない
方角と招き猫の色や運を結ぶ組み合わせは、出典を確認できませんでした。上位の解説記事には、西に金色や黄色で金運、東や南西にピンクで恋愛運といった組み合わせが並んでいます。
ところが、黒い招き猫を南西に置くとする記事もあれば、北東と組み合わせる記事もあるなど、記事ごとに食い違いが見られました。しかも、どの記事も組み合わせの出どころを示していません。
研究所が確かめた辞典の「風水説」「家相」「方位」の項目にも、方角ごとに招き猫の色や運を定めた記述は見当たりませんでした。そのため、この記事では方角と色・運の組み合わせを載せないことにしています。
風水とご利益の関係や、広く語られている組み合わせの説は、別の記事で整理しました。
置き場所は入口と目に入る場所から考える
招き猫の置き場所は、入口と毎日目に入る場所から先に考えるのが基本です。辞典には、招き猫を店先や店の入口に置いてきたことが記されています。
風水の方角は、そのうえで好みに合わせて参考にする程度で十分でしょう。民俗学者の島村恭則氏への研究所の取材でも、招き猫を置くことは「念のため」の行為で、直感的なものに留まると整理されました。
一方で色は、方角ではなく願いで選ぶと迷いません。招き猫研究所の定義では、白・三毛は開運招福、黒は厄除け、金は金運・仕事運を託す色です。
店先・玄関・会社など場所ごとの置き方と、縁起物を置く人の気持ちを民俗学から読み解いた取材は、次の記事で読めます。
色ごとの意味や、手・小判など姿に込められた願いは、意味の記事にまとめています。
色を願いで選ぶなら、白・金・黒の3色から考えるのも一つの方法です。「Luxen Maneki」は、招き猫研究所を運営する株式会社日本招き猫総合研究所のブランドです。白の花筏、金の錦鯉、黒の浮世を、瀬戸焼で手がけています。
よくある質問
Q. 風水で招き猫がよくないといわれるのはなぜですか?
A. 研究所が確かめた辞典や寺社・産地の公式に、風水で招き猫がよくないとする記述は見当たりません。インターネット上では、置き場所や、古くなった招き猫を置き続けることを理由に挙げる説が見られます。気になる場合も、その説に出典があるかを確かめてから判断するとよいでしょう。
Q. 金色の招き猫は西に置くとよいですか?
A. 研究所の定義では、金は金運・仕事運を託す色です。ただし、西に置くとよいという記述は、研究所が確かめた辞典類には見当たりません。辞典が示す方位と色の配当では、西に当てられた色は白です。置き場所は方角より、毎日目に入る場所を優先しましょう。
Q. 風水と家相はどちらを優先すればよいですか?
A. どちらも招き猫の置き場所を定めたものではないため、優先順位を決める必要はありません。家相は日本で広まった家の吉凶判断で、間取りや玄関の方位を見るものです。招き猫は入口や毎日目に入る場所を基本に、気になる考え方を楽しめる範囲で取り入れれば十分でしょう。
招き猫研究所がつくる招き猫「Luxen Maneki」
方角に決まりがないなら、置き場所より先に、どんな一体を迎えるかを考えたくなります。とはいえ、何を基準に選べばよいのかわからないという人もいるでしょう。
招き猫研究所がつくる「Luxen Maneki」は、六古窯のひとつである瀬戸焼の招き猫です。伝統窯の職人が一体ずつ金彩を手描きし、注文を受けてから約4〜6週間をかけて仕上げています。
お届けには特製の桐箱を使っています。湿気を吸って吐き、燃えにくい桐は、かつて金庫の内箱にも選ばれてきた木です。
まとめ
風水は、地形や方位、気の流れから住まいや墓を選ぶ考え方です。招き猫の置き場所はその中の室内インテリア風水にあたり、日本では風水の体系より家相として方角の吉凶が広まりました。
方角と招き猫の色や運を結ぶ組み合わせは、辞典類に記述がなく、出典を確認できません。置き場所は入口と毎日目に入る場所から先に考え、色は願いで選びましょう。
そのうえで、風水の方角は楽しめる範囲で取り入れるのが、招き猫との無理のない付き合い方です。




