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招き猫の歴史・文化

笠森観音の招き猫とは?黒招き猫の意味や買える場所、参拝情報を解説

この記事でわかること

  • 笠森観音の黒招き猫は、寺が個人の店と案内する品
  • 寺の公式サイトは、扱う店として「古壺(ここ)」を挙げる
  • 研究所の定義では、黒は災いを遠ざける厄除けの色
  • 観音堂は四方懸造の重要文化財で、拝観料は大人300円

千葉県長南町の笠森観音(笠森寺)で知られる黒い招き猫は、寺の授与品ではなく、個人のお店の品です。寺の公式サイトは、黒い招き猫を求める人に向けて、お店の名前「古壺(ここ)」を案内しています。

では、笠森観音の黒招き猫はどこで手に入り、黒にはどんな意味があるのでしょうか。お寺とお店の関係を取り違えないことが、気持ちよく参拝するための第一歩になります。

研究所では笠森寺の公式サイトと、文化庁・千葉県・長南町の公開情報を2026年10月時点で確かめました。黒の意味は、研究所の色の定義にそって説明します。

笠森観音の黒招き猫の早見表

千葉県長南町の笠森観音の観音堂と境内
笠森観音(笠森寺)/写真:Σ64(CC BY 4.0)

笠森観音の黒招き猫について、寺の公式サイトで確かめられることは多くありません。最初に、確かめられたことと、確かめられなかったことを分けて整理します。

公式サイトでわかることの一覧

笠森寺の公式サイトで確かめられたのは、黒招き猫を扱うのが個人のお店だという点です。お店の営業時間や値段は、寺の公式サイトには載っていません。

笠森観音の黒招き猫と参拝の基本情報(2026年10月時点)

項目内容
黒招き猫を扱う店古壺(ここ)。寺は「個人のお店」と案内
店の電話番号0475-46-4122(寺の公式サイトに掲載)
店の営業時間・休み・値段寺の公式サイトでは確認できない
寺の御札・御守り交通守・身代守・合格守など(招き猫の記載はない)
拝観時間4月〜9月は8時〜16時30分、10月〜3月は8時〜16時
拝観料大人300円・小人100円
所在地千葉県長生郡長南町笠森302

出典:笠森観音「よくある質問・お問い合わせ」
出典:笠森観音「ご祈祷・御札・御朱印」
出典:笠森観音「アクセス」

表のとおり、寺が黒招き猫について示しているのは、お店の名前と電話番号です。招き猫の由来や意味を寺が説明したページは、公式サイトの中に見当たりませんでした。

そのため黒招き猫を目当てに訪ねるなら、お店の開店日を電話で確かめてから出かけると安心でしょう。寺の拝観時間とお店の営業時間は、別のものとして考えておく必要があります。

笠森観音の黒招き猫はどこで買える?

笠森観音の黒招き猫は、寺が「古壺(ここ)」と名前を挙げるお店で扱われています。寺の授与品とは扱いが異なるため、お寺とお店の関係を先に押さえておきましょう。

寺が案内する「古壺(ここ)」

笠森寺の公式サイトには、よくある質問のページがあります。その中に、境内の売店で黒招き猫を求めたいという問いがあります。寺の答えは、個人のお店だから開店時間や休日を確かめてほしいというものです。

あわせて寺は、お店の名前を「古壺(ここ)」と記し、電話番号も載せました。黒招き猫について、寺が公式に示している情報はこの問いと答えだけです。

一方で、お店がいつ開いているか、黒招き猫がいくらかは、寺の公式サイトからはわかりません。寺が「個人のお店」と書いている以上、研究所もお店の営業を寺の情報として扱わないことにしました。

つまり笠森観音の黒招き猫は、寺の授与品ではなく、参拝の折にお店で出会う品と考えるのが実態に近いでしょう。値段や在庫は、お店に直接たずねてください。

寺の授与品と黒招き猫の違い

寺が授けているのは、御札・御守り・御朱印とご祈祷です。公式サイトの一覧に招き猫は含まれておらず、黒招き猫とは窓口が分かれている点に気をつけましょう。

笠森寺の授与・祈祷と黒招き猫の窓口(2026年10月時点)

種類内容窓口
ご祈祷9時〜15時の毎時。祈祷料5,000円笠森寺
御札護摩札・切札・本尊御身影笠森寺
御守り交通守・身代守・子授守・安産守・合格守・仕事守・火防・方災除け笠森寺
御朱印帳面・掛け軸とも受付(1月1日〜3日は紙朱印のみ)笠森寺
黒招き猫寺の一覧には記載なし古壺(個人のお店)

出典:笠森観音「ご祈祷・御札・御朱印」
出典:笠森観音「よくある質問・お問い合わせ」

この違いは、問い合わせ先を選ぶときに効いてきます。御札や御守りは遠方の人向けに寺が郵送でも受け付けているものの、黒招き猫の問い合わせ先は寺ではなくお店になります。

なお、笠森観音の境内は2026年9月の台風で被害を受け、10月3日に開堂しました。お店の営業への影響は公式サイトでは確かめられないため、出かける前にお店へ電話をしておくと確実でしょう。

笠森観音の黒招き猫の意味

江戸時代の「猫水滴」。座った黒い猫の形をした水滴
「猫水滴」江戸時代・18~19世紀(東京国立博物館蔵)/出典:ColBase

黒い招き猫に託されてきたのは、災いを遠ざける厄除けの願いでした。ただし笠森寺は黒招き猫の意味を説明していないため、以下は研究所の色の定義としての紹介です。

黒招き猫の意味のポイント

  • 研究所の定義では、黒は災いを遠ざける厄除けの色
  • 笠森寺の公式サイトに、黒招き猫の意味の説明はない
  • 京都の檀王法林寺は、黒い招き猫を寺の授与品として授けている

研究所の定義では黒は厄除けの色

研究所の色の定義で、黒に当てている願いは「厄除け」です。闇にまぎれる黒は、災いを寄せつけずに暮らしを守る色だと、研究所は位置づけてきました。

研究所は色ごとに託す願いを分けており、黒は赤とともに「守る色」に入ります。お金や縁を呼び寄せる金やピンクとは、願いの向きが逆だといえるでしょう。

ただし、この意味は笠森寺が示したものではありません。寺の公式サイトには黒招き猫の由来も意味も書かれていないため、研究所の定義として受け止めてください。

また、黒い招き猫を迎えれば災いが防げると約束するものでもありません。つまり笠森観音の黒招き猫は、参拝の記念に、身と家の無事を願って迎える一体と考えると、無理のない向き合い方になります。

黒い招き猫が厄除けの色とされる理由や、白との違いは、黒い招き猫の記事で詳しく扱いました。

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黒い招き猫を授ける寺との違い

黒い招き猫には、寺が自ら授けるものと、寺の近くのお店で出会うものがあります。前者の例が、京都市左京区の檀王法林寺です。

黒い招き猫と寺のかかわりの比較

場所黒い招き猫とのかかわり寺の説明
檀王法林寺(京都市)寺の授与品として授ける主夜神尊の使いを黒猫とする伝えがある
笠森観音(千葉県長南町)寺は個人のお店「古壺」を案内する黒招き猫の由来の説明はない

檀王法林寺の黒い招き猫は、寺が祀る神と結びつく伝えがあるため、寺の縁起とあわせて語ることができます。一方で笠森観音の黒招き猫には、寺の縁起と結びつける公式の説明が見当たりません。

だからこそ、笠森観音の黒招き猫を寺の伝説として語るのは控えたいところです。招き猫を祀る・授ける寺社の全体像は、全国の寺社をまとめた記事で紹介しています。

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黒に厄除けの願いを託すなら、その黒がどんな手仕事で仕上げられているのかも気になるところでしょう。当研究所の運営元である株式会社日本招き猫総合研究所は、招き猫のブランド「Luxen Maneki」を運営しています。

黒の一体「浮世」は、瀬戸焼の伝統窯で職人が金彩を一体ずつ手描きした招き猫です。

笠森観音とはどんな寺か

笠森観音は、最澄の開基と伝わる天台宗の寺で、正式名を大悲山 楠光院 笠森寺といいます。黒招き猫を目当てに訪ねる人も、本尊と観音堂の歩みを知っておくと参拝の印象が変わるはずです。

笠森観音のポイント

  • 寺によると、延暦3年(784年)に最澄が開いたと伝わる
  • 坂東三十三観音霊場の第三十一番札所
  • 観音堂は四方懸造で、明治41年(1908年)から国の指定を受ける

最澄の開基と坂東三十一番札所

笠森寺の始まりは、延暦3年(784年)に最澄が十一面観音を刻んで山上にまつったことと伝えられています。千葉県教育委員会の解説も、最澄の開創として同じ年を挙げています。

本尊は十一面観世音菩薩です。坂東三十三観音霊場では、第三十一番の札所にあたります。関東の観音霊場を巡る人々が、古くから山上の観音堂を目指してきました。

寺の「笠森観音ものがたり」には、本尊にまつわる話が残ります。五月雨の日、ある乙女が道ばたの観音像にみずからのミノとカサを着せかけ、のちに天皇に召されたと寺は伝えています。

この話は寺の縁起として語られてきたもので、史実として確かめられたものではありません。ただし観音への信心が里人の暮らしに根づいていたことを、いまに伝える物語として読めるでしょう。

四方懸造の観音堂と国の重要文化財

笠森観音の観音堂は、大きな岩の上に建ち、四方を柱で支える「四方懸造」の建物です。懸造(かけづくり)とは、崖や岩の上に長い柱を立てて床を支える建て方を指します。

笠森寺と長南町は、この四方懸造を日本でただ一つの構造と紹介しています。観音堂は明治41年(1908年)に当時の国宝となり、文化財保護法の制定後は国の重要文化財になりました。

観音堂の建立年代についての記録

出典建立年代の書き方
笠森寺長元元年(1028年)、後一条天皇の勅願により建立
千葉県教育委員会修理に伴う調査で墨書銘が見つかり、現在の建物は桃山時代の建立と判明
文化庁 国指定文化財等データベース桃山時代・文禄6年(1597年)
長南町墨書銘から桃山時代に建立(再建か)されたと思われる

表のとおり、寺の伝える創建の年と、いま建っている建物の年代は別のものです。つまり観音堂そのものは平安時代に始まると伝わり、現在の建物は桃山時代のものと読み分けるとよいでしょう。

浮世絵に描かれた笠森寺

岩の上に建つ観音堂の姿は、江戸時代の終わりに浮世絵の名所絵にもなりました。二代歌川広重の「諸国名所百景 上総笠森寺岩作り観音」です。

浮世絵研究者の大久保範子氏は、研究所の取材に「浮世絵は(現代のTVと同じような)マスメディアですよ。」と語っています。木版で大量に刷られた浮世絵は、庶民にも手の届く価格で買えるものでした。名所絵になった笠森寺の姿も、こうした浮世絵を通じて江戸の人々に知られていったと考えられます。

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文化遺産オンラインでは、館山市立博物館の所蔵品として安政6年(1859年)の作と紹介されています。同じ図は、木更津市郷土博物館金のすずの所蔵品としても登録されました。

寺の年表にも、松尾芭蕉が訪れて句を奉納したことや、十返舎一九の「金草鞋」に載ったことが記されています。このように笠森寺は、江戸の人々が旅して詠み、描いた房総の名所でもありました。

招き猫も江戸の町で広まった縁起物ですが、笠森寺と招き猫を結ぶ記録は見つかっていません。そのため、笠森寺の名所としての歴史と、黒招き猫の話は分けて楽しむのが確かな読み方です。

招き猫が江戸でどう生まれ、浮世絵にどう描かれたのかは、招き猫の由来の記事でたどっています。

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笠森観音の参拝情報(時間・拝観料・アクセス)

岩の上に建つ笠森観音の観音堂
笠森観音の観音堂/写真:Noodle Bones(CC BY 2.0)

笠森観音は山の上の寺で、天候によって閉堂する日があるのが特徴です。時間・拝観料・行き方に加え、2026年秋の行事と台風の影響をまとめました。

拝観時間・拝観料と雨天閉堂

拝観時間は季節で変わり、10月〜3月は16時に閉堂します。山上の寺なので、火の用心と下山の安全のために早めに閉めていると寺は説明しています。

笠森観音の拝観時間と拝観料(2026年10月時点)

項目内容
拝観時間(4月〜9月)8時〜16時30分
拝観時間(10月〜3月)8時〜16時
拝観料大人300円・小人100円
ペット観音堂はキャリーに入れて参拝。境内・参道はリードが必要

出典:笠森観音「アクセス」
出典:笠森観音「よくある質問・お問い合わせ」

ただし注意したいのが、雨の日の閉堂です。観音堂は高い場所にあり、階段が濡れると滑りやすいため、寺は小雨でも風があれば閉堂することがあると案内しています。

反対に、大雨でも風がなければ開堂できる日もあるそうです。半日だけ開ける日もあるので、雨の予報の日は出発前に寺へ電話で確かめましょう。

アクセスと駐車場

車なら、圏央道の茂原長南ICから約5km・7分ほどで着きます。駐車場は50台分あり、料金はかかりません。

笠森観音への行き方(2026年10月時点)

手段行き方
車圏央道「茂原長南IC」から5km・約7分。無料駐車場50台
電車+バスJR外房線「茂原駅」南口から小湊バス「笠森霊園」行きで「笠森」下車、徒歩5分
高速バス東京駅八重洲口・横浜駅・羽田空港から「茂原駅」行きで「長南駐車場」下車、タクシーで約5分

出典:笠森観音「アクセス」
出典:ちば観光ナビ(千葉県公式観光サイト)「笠森観音(笠森寺観音堂)」

路線バスは令和7年(2025年)4月1日に変わったと寺は案内しています。平日だけ・土日祝だけの便もあるため、バスで行く場合は寺のアクセスページで最新の路線を確かめてください。

なお、寺の住所は長南町ですが、最寄りの鉄道駅は茂原市の茂原駅です。そのため電車の旅は茂原駅を起点に組み立てると迷いにくいでしょう。

2026年の御開帳と台風の影響

2026年は、本尊の御開帳がある年です。寺の年中行事の案内では、御開帳は丑年と午年の10月17日から11月18日までです。

2026年は午年にあたり、寺は10月17日からの御開帳に向けて準備を進めていると伝えています。ほかにも毎月17日・18日の11時からは、大般若経転読会という祈願の法要が営まれてきました。

一方で2026年9月の台風25号では、境内で地滑りが起き、寺の電気と水道が止まっています。寺は仮の復旧を終えて10月3日から開堂したものの、断水のため境内のトイレは使えないと案内しています。

駐車場のトイレは使えるものの、寺の裏手にある「関東ふれあいの道」は、がけ崩れと倒木で通れません(2026年10月時点)。御開帳に合わせて訪ねるなら、寺の新着情報で最新の状況を確かめてから出かけてください。

出典:笠森観音「歴史・年中行事」
出典:笠森観音「新着情報(2026年10月2日・9日)」

笠森観音のほか、神奈川や群馬などで招き猫に出会える寺社は次の記事で紹介しています。

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よくある質問

Q. 笠森観音の黒招き猫は通販で買えますか?

A. 笠森寺の公式サイトには、黒招き猫の通販の案内はありません。寺が黒招き猫について示しているのは、扱うのが個人のお店「古壺(ここ)」であることと、その電話番号です。通販や取り置きができるかどうかは、寺ではなくお店に直接問い合わせてください。

Q. 笠森観音で御朱印はもらえますか?

A. もらえます。笠森寺の御朱印は、帳面と掛け軸のどちらにも対応しています。ただし1月1日から3日までは、紙の御朱印のみです(2026年10月時点)。御朱印の受付時間は公式サイトに書かれていないため、拝観時間内に訪ねて寺で確かめてください。

Q. 笠森観音ではどんな祈願を受けられますか?

A. 寺が受け付ける祈願は、厄除けや商売繁盛、安産、七五三、合格、病気平癒など多岐にわたります。祈祷料は5,000円で、9時から15時まで毎時の回があります(2026年10月時点)。山上の寺のため車の安全祈願は受けておらず、代わりに交通安全のお守りが用意されている点に注意しましょう。

Q. 遠方からでも笠森観音の御札や御守りを受けられますか?

A. 受けられます。寺は遠方の人や外出に不安がある人のために、御札・御守りを郵送で受け付けています。電話で名前と住所を伝えると申込書が届き、記入して返送すると御札と送金の案内が送られてくる流れです。電話の受付は8時から16時までです。

招き猫研究所がつくる黒の招き猫「Luxen Maneki 浮世」

笠森観音の黒招き猫は、参拝の折にお店で出会う一体でした。旅先での出会いとは別に、家で長く飾る黒い招き猫を、作り手や産地までわかるもので選びたいと考える人もいるでしょう。

「浮世」は、株式会社日本招き猫総合研究所のブランド「Luxen Maneki」が手がける黒の招き猫です。産地は六古窯に数えられる瀬戸焼で、金彩は伝統窯の職人による手描きです。注文を受けてから約4〜6週間をかけ、一体ずつ仕上げてお届けします。

お届けは特製の桐箱です。湿気を吸って吐き、燃えにくい桐は、かつて金庫の内箱にも使われてきました。

まとめ

笠森観音の黒招き猫は、寺が「個人のお店」と案内する古壺(ここ)の品です。寺の授与品ではなく、営業時間や値段は寺の公式サイトでは確かめられません。

黒の意味は、研究所の定義では災いを遠ざける厄除けです。ただし、これは笠森寺が示した意味ではないため、研究所の定義として受け止めてください。

訪ねる前には、お店の開店日と寺の開堂状況を電話で確かめると安心です。2026年は10月17日から11月18日まで本尊の御開帳があり、四方懸造の観音堂とあわせて参拝できる年にあたります。