この記事でわかること
- 金運は右手を上げた招き猫に託されてきた
- 金色は公式2か所がそろって金運の色とする
- 西に置くと金運という決まりは公式にない
- 効果の約束ではなく、願いを形にする縁起物
招き猫で金運を願うなら、右手を上げた金色の一体が、作り手の説明にかなう選び方です。右手と金色にお金の願いを当てているのは、愛好家団体と窯元の2か所でした。
一方で、黄色や方角と金運を結びつける説明には、出典の見当たらないものも広まっています。金運と招き猫が結びついた背景までたどると、迷わずに一体を選べるでしょう。
招き猫の金運は右手と金色【早見表】
招き猫の金運は、上げた手と色の2つで表されてきました。出典ごとに何を伝えているかを並べると、説明がそろう点とそうでない点が見えてきます。
招き猫の金運のポイント
- 右手はお金、左手は人を招くと公式2か所が説明している
- 金色は公式2か所がそろって金運の色としている
- 住吉大社とお松大権現も、右手にお金の願いを当てている
右手を上げた招き猫はお金を招く
お金を招くのは右手を上げた招き猫だといわれています。愛好家団体・窯元に加え、招き猫を授ける寺社の説明も並べると次のとおりです。
右手と左手の招き猫に当てられた願い
| 出典 | 右手 | 左手 |
|---|---|---|
| 日本招猫倶楽部(愛好家団体) | お金 | 人やお客 |
| 梅月冨本人形園(愛知県常滑市) | お金を招く | 人を招く |
| 住吉大社 楠珺社(大阪市) | 商売発達・お金招き | 家内安全・人招き |
| お松大権現(徳島県阿南市) | 金運・幸福 | 千客万来 |
2か所の公式は、言い回しこそ違っても右手はお金という点で一致しています。寺社でも、住吉大社とお松大権現が右手にお金の願いを重ねていました。
ただし住吉大社は、右手に商売発達、左手に家内安全のご利益を添えています。お松大権現は、右手を上げた猫を雄、左手の猫を雌と語り分けていました。
つまり、金運を願うなら右手という考え方は、作り手と寺社でほぼ共通しています。左右の意味がどこから生まれたのかは、右手と左手の記事でたどりました。
金色は公式2か所がそろって金運の色
色で金運を表すなら金色の招き猫が、公式の説明に沿っています。2か所が金に当てた言葉は、金運満足・金運招福でした。
日本招猫倶楽部は、白を総合的な「開運招福」の色と位置づけています。その中で金は、お金の願いに絞った色という扱いです。
対して研究所の定義では、金は金運・仕事運の色としています。金運の招き猫は商いの縁起物として広まったため、研究所は仕事の願いまで金に含めました。
一方で、黄色を金運の色とする説明は、2か所の公式には見当たりません。梅月冨本人形園は黄を良縁の色とし、英語ではMarriageと添えていました。
研究所の定義でも黄は金運ではなく、人に慕われ人が集まる人望招福の色です。
そのため、金運の願いには黄色ではなく金色を選ぶと、作り手の説明と食い違いません。金の招き猫ならではの話は金色の記事で、ほかの色の定義は意味の記事で詳しく扱っています。
金色の意味がわかると、その金がどんな手仕事でのせられたのかも気になるのではないでしょうか。「Luxen Maneki」は、招き猫研究所の運営会社の株式会社日本招き猫総合研究所が手がけるブランドです。
金色の一体は「錦鯉」と名づけられ、瀬戸焼の伝統窯で職人が手描きで金彩をのせています。
招き猫と金運が結びついてきた背景
招き猫が金運と結びついたのは、商いの場で客と財宝を招く縁起物として広まったためです。小判を抱える姿も、持ち物で願いを足す招き猫の作り方の中で定着してきました。
客と財宝を招く縁起物という出発点
招き猫の願いは、もともと客と財宝の両方に向けられていました。ブリタニカ国際大百科事典は、人や財宝を招いて商売繁盛を願う縁起物と説明しています。
一方で日本大百科全書は、招き猫の起こりを江戸・両国の店に求める説を紹介しました。天明年間(1781〜89年)に、金銀で彩った招き猫を店先に置いた「金猫銀猫」という店です。
ただし、この説を裏づける資料はほかに見つかっておらず、起こりをめぐる諸説の一つにとどまります。それでも、金色と商いの結びつきは古くから語られてきたといえるでしょう。
豪徳寺や今戸など、招き猫の始まりについての諸説は、由来の記事に並べました。
小判を抱える姿と、小判を持たない招福猫児
小判を抱えるのは、「常滑系」と呼ばれる型の典型です。愛知県の公式観光サイトも、大きな小判をがっちりつかんだ二頭身の姿を常滑系の特徴に挙げています。
常滑焼(愛知県常滑市)の窯元・梅月冨本人形園では、小判に名前や会社名を入れる特注にも応じています。持ち物で願いを書き足せる点が、金運を表すうえでの招き猫の特徴です。
一方で、東京・世田谷の豪徳寺の招福猫児は、右手を上げながら小判を持っていません。寺の説明によれば、招福猫児がもたらすのは人との縁で、福そのものではないからだといいます。
だからこそ、寺社で授かる招き猫は、金運よりその寺の教えを優先して受け止めましょう。小判の意味と、豪徳寺の招福猫児の授かり方は、次の2つの記事で紹介しています。
金運を願う招き猫の選び方
金運を願うなら、右手・金色・小判を重ねるのがわかりやすい選び方です。手の高さで福の大きさを語り分ける言い伝えもあり、願いに応じて選べます。
右手・金色・小判を重ねる
手・色・持ち物の3つで願いを重ねられるのが、招き猫の金運の表し方です。たとえば右手を上げた金色の招き猫が小判を抱えていれば、お金の願いが3つの要素でそろいます。
ほかの縁起物と比べると、この組み合わせの自由さが際立ちます。島村恭則氏(民俗学者)は、研究所のインタビューで蛇の抜け殻と金運の結びつきを例に出しました。その背景には、弁才天をめぐる長い意味の連なりがあるといいます。
蛇の抜け殻は一つの言い伝えとして手渡される縁起物です。対して招き猫は、姿の要素を組み替えて願いを表せます。
ただし、耳より上に手が届く「手長」ほど大きな福を招くとされるなど、要素ごとの意味には幅があります。迷ったときは、いちばん大切な願いを一つ決めてから要素を選ぶとよいでしょう。
よくある質問
Q. 金運の招き猫は西に置くとよいですか?
A. 風水で西に置くと金運によいという説明もありますが、招き猫の作り手の説明に、方角の決まりは見当たりません。日本招猫倶楽部も、飾り方は特に決まっていないと答えています。店ならお金を扱う場所、家なら毎日目に入る場所など、願いを思い出せる場所を選ぶとよいでしょう。
Q. 招き猫を置けば金運はよくなりますか?
A. 置けば金運がよくなるという保証はありません。宝くじが当たるような現世の御利益を求めて招き猫を好むのではない、と日本招猫倶楽部は記しています。お金への願いを形にし、毎日目にして思い出すための縁起物と考えるのが自然です。
Q. 両手を上げた招き猫は金運に向いていますか?
A. 両手の招き猫は、お金と人の両方を招く姿とされてきました。ただし両手の姿は「お手上げ」を連想させるとして、縁起が悪いとされてきた時期もあります。金運を第一に願うなら、右手を上げた一体を選ぶと迷わずに済みます。
招き猫研究所がつくる招き猫「Luxen Maneki」
金運の願いを託す一体なら、金色の仕上げ方まで確かめたい人もいるでしょう。とはいえ、写真や店頭の印象だけでは、手仕事と量産品の違いはつかみにくいものです。
招き猫研究所の「Luxen Maneki」は、金の錦鯉、白の花筏、黒の浮世の3体を手がけています。いずれも瀬戸焼の伝統窯で、職人が金彩を一体ごとに手描きしています。
受注生産のため、注文からお届けまでは約4〜6週間です。
まとめ
招き猫の金運は、右手を上げた姿と金色に託されてきました。公式2か所に加え、住吉大社とお松大権現も右手にお金の願いを当てています。
一方で、黄色を金運の色とする説明や、西に置くと金運によいという説明は、公式には見当たりません。小判を持たない豪徳寺の招福猫児のように、寺社ごとの教えもあります。
金運を願うなら、右手・金色・小判から願いに合う要素を選び、日々目にとまる場所に迎えましょう。








