この記事でわかること
- 招き猫は店の入口で客を迎える縁起物とされる
- 客足を願う店なら左手、色は白か金が選びやすい
- 不吉な意味を連想させる忌み言葉は添えない
- 両手の招き猫は「お手上げ」と受け取る人もいる
開店祝いの招き猫は、客を招く左手と、願いに合う色から選ぶと迷いません。辞典には、招き猫が花街や飲食店で好まれ、正月に買い求めて店の入口に置かれてきたと書かれています。
一方で、開店という門出だからこそ気をつけたい点もあります。贈る側が押さえたい選び方と、開店祝いのタブーを、辞典や作り手の説明で確かめました。
開店祝いに招き猫が選ばれる理由
開店祝いに招き猫が選ばれるのは、店の入口で客を迎えてきた縁起物だからです。辞典の記述と、作り手や専門店の話から理由をたどります。
開店祝いに招き猫が選ばれる理由
- 招き猫は客や財宝を招く縁起物として商いの家に飾られてきた
- 江戸時代から店先に置かれ、正月に買い求める風もあった
- 窯元や専門店には開店祝い向けの相談先がある
店の入口で客を迎えてきた縁起物
辞典の説明でも、招き猫は店先で客を呼ぶための縁起物です。ブリタニカ国際大百科事典は、人や財宝を招いて商売が栄えるという縁起をかつぎ、客を相手にする家に飾る置物と説明しました。
旧版の事典では、店頭に猫の像を飾るのは江戸時代からの習わしとされています。改訂新版も、招き猫を正月に買い求め、店の入口に置く風があると記しました。
だるまや熊手も商いの縁起物ですが、招き猫は手招きという客を呼ぶしぐさを形にしている点が特徴です。つまり開店祝いの招き猫は、店先で客を迎えるという本来の役目をもったまま贈れる品といえるでしょう。
商売繁盛の縁起物とされてきた理由と、江戸から現代までの招き猫の歩みは、次の2本で詳しく扱いました。
開店祝い向けに相談できる作り手や専門店
窯元や専門店には、開店祝いの招き猫を相談できるところがあります。常滑の窯元・梅月冨本人形園では、名前や会社名などを小判や背中に入れる特注を受けていて、開店祝いにも向くと案内しています。
名前を入れたい、色の意味を聞いて選びたいといった希望があれば、作り手や店に相談するとよいでしょう。
ただし、特注品は注文を受けてから作るので、開店日に間に合うよう早めに頼むことが大切です。納期や費用は、依頼先に直接確かめてください。
常滑の窯元が語った招き猫づくりへの思いは、取材記事にまとめました。
開店祝いの招き猫の選び方
開店祝いの招き猫は、上げた手から先に決め、次に色を選ぶと相手の店に合う一体が見つかります。手も色も、作り手が公式に示した意味を手がかりにしましょう。
客足を願う店には左手
客足を願う店への贈り物なら、人を招く左手が基本です。左手は人や客を、右手はお金を招くという説明は、愛好家団体と常滑の窯元の2か所で共通しています。
店の願いと選ぶ手の目安
| 店の願い | 選ぶ手 | 出典 |
|---|---|---|
| 客に来てほしい | 左手(人・客を招く) | 日本招猫倶楽部・梅月冨本人形園 |
| 売上を伸ばしたい | 右手(お金を招く) | 日本招猫倶楽部・梅月冨本人形園 |
| 客も売上も | 両手(「お手上げ」と敬遠する向きもある) | イミダス 時事用語事典 |
開店したばかりの店にとって、最初の課題は客に足を運んでもらうことです。そのため贈り物としては、左手の招き猫が開店の願いに重ねやすいでしょう。ただし、相手が売上を強く願っていると知っているなら、右手を選んでもかまいません。
手の意味が生まれた背景と、寺社ごとに左右の意味が違う例は、右手と左手の記事で取り上げました。
色は白か金が選びやすい
迷ったら白、商いの福を強く願うなら金が、公式の意味に沿った選び方です。日本招猫倶楽部の説明では、白は総合的な「開運招福」の色、金は「金運満足」の色です。
梅月冨本人形園も、金に「金運招福」という言葉を当てました。一方で黒は2か所とも厄除けの色で、店を災いから守る願いを込めたいときに選べます。
白を「新しいスタート」、赤を「魔除け」の色として開店祝いに勧める説明もあります。しかし公式の説明では、白は開運招福、赤は健康の色です。招き猫研究所の定義では、赤を病よけの色としています。
だからこそ、色の意味は作り手の説明で確かめてから選びましょう。
白と金それぞれの意味と、選ばれてきた理由は、色別の記事で掘り下げました。
手や色の意味を添えて贈るなら、どこで誰が仕上げた一体かも伝えられると、贈る理由がひとつ増えるでしょう。株式会社日本招き猫総合研究所、つまり招き猫研究所の運営会社は、「Luxen Maneki」も手がけています。
瀬戸焼の窯元で金彩を一体ずつ手で描き入れる、受注生産の招き猫です。
開店祝いのタブーとマナー
開店祝いでは、添える言葉と、品の選び方に気をつけたい点があります。辞典に記された忌み言葉や贈答のしきたりから、避けたいことを整理しました。
開店祝いで避けたいこと
- 不吉な意味を連想させる忌み言葉をメッセージに使う
- 縁起を気にする相手に、両手を上げた招き猫を贈る
- 相手の店にすでにある品と重ねてしまう
忌み言葉をメッセージに使わない
開店祝いに添える言葉では、忌み言葉を避けるのが基本です。精選版日本国語大辞典は、忌み言葉を、不吉な意味を連想させる発音などから使うのをきらう言葉と説明しています。
辞典が例に挙げるのは、婚礼のときの「去る」「帰る」などです。改訂新版の世界大百科事典も、婚礼で終わりを「お開き」と言い換える縁起言葉を紹介しました。
とはいえ、辞典の例は婚礼のものです。お祝いの品に添える言葉は、客を招く願いが伝わる前向きな言葉を選ぶとよいでしょう。
両手の招き猫と品物の重なりに気をつける
開店祝いで気をつけたい品選びは、両手の一体と、品物の重なりです。両手を上げた招き猫は、客もお金も招く姿とされています。その一方で、「お手上げ」を連想させて縁起が悪いとされてきたと、時事用語事典イミダスは記しています。
開店は、店がこれから商いを伸ばしていく出発点です。そのため、縁起を気にする相手には片手の一体を選ぶほうが安心でしょう。
あわせて日本大百科全書は、親しい間柄では品物が重ならないよう前もって打ち合わせることもあると記しています。店にすでに招き猫を迎えていないか、確かめられる間柄なら聞いておくと安心です。
のしや水引の結び方など、招き猫を贈るときの基本のマナーと、両手の招き猫が避けられる理由は、次の記事にまとめました。
よくある質問
Q. 開店祝いの招き猫はいつ贈ればよいですか?
A. 贈る時期について、辞典や公式に決まった記述はありません。ただし改訂新版の世界大百科事典は、招き猫を正月に買い求め、店の入口に置く風を伝えています。店の入口に置いてもらうことを考え、開店の準備に合わせて届く日を相手に確かめるとよいでしょう。
Q. 開業祝いと開店祝いで、招き猫の選び方は変わりますか?
A. 考え方は同じで、人や客を招きたいときは左手、お金を招きたいときは右手が目安です。店を開く開店祝いなら、客足を願う左手が重ねやすいでしょう。事務所や会社の開業なら、来客を迎えたいのか、売上を伸ばしたいのかを相手に聞いて決めると迷いません。
Q. 招き猫に添えるメッセージには何を書けばよいですか?
A. 選んだ手や色の意味を一言添えると、招き猫を贈った理由が伝わります。たとえば左手なら「お客さまを招くといわれる左手を選びました」と書けば、置く人も意味を思い出せます。忌み言葉を避け、店の繁盛を願う前向きな言葉で結びましょう。
招き猫研究所がつくる招き猫「Luxen Maneki」
開店祝いの招き猫は、店の入口で長く客を迎えることになる贈り物です。とはいえ、数ある招き猫の中から、店に飾ってもらえる一体を選ぶのは迷うものでしょう。
「Luxen Maneki」は、招き猫研究所が六古窯の産地・瀬戸で手がける招き猫です。職人が金彩を一点ずつ筆で入れて仕上げています。受注生産のため、届くまではおよそ4〜6週間で、お届けには特製の桐箱を使っています。
まとめ
開店祝いの招き猫は、客を招く左手と、願いに合う色から選ぶと迷いません。招き猫は江戸時代から店先に置かれ、正月に買い求めて店の入口に据える風もありました。
色は、迷えば開運招福の白、商いの福を願うなら金が公式の意味に沿います。開店祝いでは忌み言葉と両手の招き猫に気をつけ、品物が重ならないよう相手に確かめましょう。
選んだ手と色の意味を言葉にして贈れば、店先に置かれるたびに祝う気持ちが伝わるはずです。







