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招き猫の置き場所

招き猫をインテリアとして飾るには?置き場所と飾り方を解説

この記事でわかること

  • 招き猫を部屋のどこに飾るか、公式の決まりはない
  • 毎日目に入る高さの棚や床の間が飾りやすい
  • 陶器の招き猫は、大きく重いものほど低く置く
  • 色・素材・並べ方を部屋に合わせて楽しめる

招き猫を部屋に飾るとき、置く場所や向きを定めた公式の決まりはありません。だからこそ、毎日目に入り、落ちる心配のない場所を選べば、縁起物と部屋の雰囲気を両立できます。

もとは店先で客を招いていた招き猫を、リビングや寝室のある家の中で、どう扱えばよいのでしょうか。

日本招猫倶楽部の案内や、研究所が取材した瀬戸の窯元の話、東京消防庁の地震対策をもとに整理しました。飾る場所の選び方から、大きさや並べ方まで、部屋になじむ飾り方がわかります。

招き猫をインテリアとして飾る前に

鳥居清満「美人と猫」。座敷の女性と足元の猫を描いた錦絵
鳥居清満「美人と猫」江戸時代・18世紀(東京国立博物館蔵)/出典:ColBase

招き猫を部屋に迎える前に押さえたいのは、作法よりも「目に入るかどうか」が大切という点です。決まりの多い縁起物と比べると、招き猫の自由さがよくわかります。

飾る前に押さえたいこと

  • 招き猫の飾り方には、特に決まりがない
  • 昔は少し高い場所に置き、水などを供えたとされる
  • 雛人形のような並べ方の決まりは、招き猫には見当たらない

招き猫を部屋に置くならどこか

部屋のどこに置くかは、暮らしの中で毎日目に入る場所から考えましょう。招き猫の愛好家団体である日本招猫倶楽部は、飾り方に特に決まりはないと案内しています。

そのうえで同倶楽部は、庶民信仰の対象だった昔の飾り方にも触れました。少し高い場所に安置し、水などを供えていたようです。

今の飾り方としては、身の回りに置いて、いつでも目に入るようにすることを勧めています。つまり、置き場所の正解は家ごとに違ってよいのです。

瀬戸市の窯元フジコウセラミックで、研究所は藤井さんに話を聞きました。藤井さんも、招き猫はもっと自由に楽しまれてよい存在だと話しています。集めて楽しむのも、好みに合わせて手を加えるのも、作り手の側から見て歓迎できることだそうです。

店先や玄関、会社など、それぞれの場所に託されてきた願いと置き方の根拠は、置き場所の記事にまとめました。

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決まりの多い縁起物との違い

部屋に飾る縁起物の中でも、招き猫は飾り方の自由度が高い部類に入ります。ほかの縁起物の団体が公開している案内と並べると、その違いがはっきりするはずです。

縁起物ごとの飾り方の決まり

縁起物飾り方の決まり案内している団体
雛人形内裏雛の左右が関西と関東で逆になるなど、段ごとの並べ方の基本がある日本人形協会
高崎だるま安置する場所に決まりはないが、顔を南から東へ向けることを勧めている群馬県達磨製造協同組合
招き猫特に決まりはなく、身近で目に付く場所が勧められている日本招猫倶楽部

雛人形については、三人官女や五人囃子をどの段にどの順で並べるか、日本人形協会が基本を示しています。対して招き猫は、一体で完結する置物です。

もっとも、高崎だるまも昔は神棚の向かって右側に置いていたものの、今は場所を限る決まりはないそうです。床の間や家具の上など、家族の目に付く場所が勧められていました。

つまり、家の中では「目に付く場所に置く」という考え方が、招き猫とだるまに共通しているといえるでしょう。

店先の縁起物が部屋に入るまで

招き猫は、もともと商いの場を飾るための縁起物でした。デジタル大辞泉は招き猫を、客商売の家で飾る置き物だと説明しています。顧客や財宝を招くという縁起にちなむものです。

客商売の家には、商売繁盛を祈る縁起棚という神棚を設ける習わしもありました。芸人や芸妓、商家や劇場などの家で設けられたと、日本国語大辞典は記しています。

一方で、今の招き猫は商いの場だけのものではありません。藤井さんによると、最近は「どう売るか」に加えて「どう見せるか」という相談が窯元に増えているそうです。

百貨店のショーウィンドウや、海外からの観光客が集まる場所での展示がその例です。招き猫が、空間を彩る置物として見られるようになってきたといいます。

だからこそ、部屋に飾る招き猫も、願いを込める置物であり、空間を形づくる置物として選べるのです。

瀬戸の窯元が見てきた招き猫の変化や、作り手としての考えは、取材記事で紹介しています。

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部屋のどこに招き猫を飾るか

部屋の中では、目に付く高さの棚と床の間が招き猫を飾りやすい場所です。一方で、陶器の置物ならではの理由から、避けたい場所もあります。

目に付く高さの棚

リビングで飾るなら、座ったときや通るときに目に入る高さの棚が候補になります。日本招猫倶楽部が勧める「いつも目に付く」置き方を、部屋の中で形にしやすい場所だからです。

あわせて、昔の人が少し高い場所に安置していたという話とも重なります。見下ろす床の上より、目線に近い棚のほうが、手を上げた姿が正面から見えるでしょう。

ただし、陶器や磁器の招き猫は、落ちれば割れてしまいます。扉のない棚に置くなら、奥行きに余裕のある段を選びましょう。

東京消防庁は、扉の付いていない開放型の棚について、中の物の落下を抑える器具を紹介しています。見えやすさと落ちにくさを両方満たす段を選ぶと、長く安心して飾れます。

床の間に飾る

和室があるなら、床の間は招き猫を置物として飾れる場所です。デジタル大辞泉によると、床の間は座敷の床を一段高くし、掛け軸や置物、花などを飾る所を指します。

日本大百科全書によると、始まりは仏画の前に香炉・花瓶・燭台を並べた形でした。のちに、書画を観賞する場として造り付けになったといいます。そのため床の間は、見せるために設けられた場所といえるでしょう。

しかも、江戸時代には庶民の住宅で床の間を作ることが禁じられていました。その後、多くの家の座敷に設けられるようになったと、世界大百科事典は説明しています。

床が一段高い床の間は、少し高い場所に安置したという昔の招き猫の置き方とも相性がよい場所です。掛け軸や花と並べる場合は、招き猫を主役にするか脇役にするかを先に決めると、全体がまとまります。

寝室や通路を避けたい理由

寝室や廊下などの通り道には、大きな陶器の招き猫を置かないほうが安心です。理由は縁起ではなく、地震への備えにあります。

東京消防庁は、寝室や家の中の廊下を、なるべく物を置かない安全スペースの例に挙げています。避難のときには、散乱した陶器やガラスでけがをしないよう備えておくことも勧めていました。

あわせて、避難通路や出入口の周りには、倒れたり動いたりしやすい家具類を置かないよう呼びかけています。そのため、枕元や廊下の床に大きな招き猫を置くのは避けましょう。

飾るなら、目に入る場所と身を守る場所を分けて考えることが大切です。くつろぐ部屋で眺め、眠る部屋と通り道は空けておくと、縁起物と暮らしの安全を両立できるでしょう。

玄関に置く場合の内側・外側の考え方や向きは、玄関の記事で詳しく扱っています。

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部屋になじむ招き猫の飾り方

鈴木春信「鼠,猫と遊ぶ娘と子供」。縁側で猫と遊ぶ娘と子供を描いた錦絵
鈴木春信「鼠,猫と遊ぶ娘と子供」江戸時代・18世紀(東京国立博物館蔵)/出典:ColBase

場所が決まったら、色・素材・並べ方・大きさを部屋に合わせて整えます。どれも縁起の意味を損なうものではないため、好みで選んでかまいません。

色と素材を部屋に合わせる

部屋になじませるなら、壁や家具の色に合う一体から選ぶと失敗が少なくなります。招き猫の色には伝承として願いが込められてきたため、願いと部屋の色の両方から決めるとよいでしょう。

招き猫研究所の定義では、白・三毛は開運招福、黒は厄除け、金は金運・仕事運を託す色です。ただし、どれも願いを託す目安であり、願いが叶うことを保証するものではありません。

素材も、部屋の印象を左右します。瀬戸焼は白く美しい素地が特徴で、九谷焼は色彩豊かな上絵付けで知られています。

一方で、土人形や張り子など、郷土玩具の招き猫もあります。白い壁の部屋なら磁器、木の家具が多い部屋なら素朴な郷土玩具というように、部屋の素材感と重ねて選ぶのもひとつの方法です。

デザインの型や作り手から招き猫を選ぶ考え方は、おしゃれな招き猫の記事で詳しく紹介しました。

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複数の招き猫を並べて飾る

いくつかの招き猫を飾るなら、テーマを決めてまとめて並べると、棚全体がひとつの展示のように見えます。

たとえば産地ごと、寺社で授かったものだけというように分けると、並びに意味が生まれるでしょう。

常滑の窯元である梅月冨本人形園は、三匹が並んだ「三匹猫」などの招き猫も作っています。初めから複数で一体になった置物を選ぶのも手です。

なお、並べる数と招き猫の意味の関係については、伝承の扱い方を数の記事で整理しています。

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大きさと置く高さを合わせる

大きさは、置く棚の寸法と、置く高さの両方から決めましょう。梅月冨本人形園の公式サイトでは、小ぶりなものから大きなものまで、号数ごとに大きさの違う招き猫を紹介しています。

同じ招き猫でも、大きさによって重さと存在感は大きく変わります。東京消防庁は、棚に物をしまうときは重いものを下にし、重心を低くして倒れにくくするよう勧めていました。

つまり、小さく軽い招き猫は目線の高さの棚に置き、大きく重い招き猫は床に近い低い位置に置きます。これが、安全と見やすさを両立する考え方です。

あわせて、座布団や敷物を下に敷くと、置き場所が定まり、棚の上でも落ち着いて見えるでしょう。

号数と実際の高さの目安、置き場所に合わせた大きさの決め方は、サイズの記事にまとめています。

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とはいえ、目線の高さの棚に収まり、部屋の主役にもなる一体は、意外と見つけにくいものです。候補のひとつが、株式会社日本招き猫総合研究所(研究所の運営会社)のブランド「Luxen Maneki」です。

瀬戸焼の白い招き猫「花筏」は、幅と奥行きが5cm、高さが9cmで、本棚の一段にも収まります。

よくある質問

Q. 招き猫のおしゃれな置物はどう選べばよいですか?

A. 型・素材・色・大きさ・作り手という5つの見方で比べると、好みに合い、縁起も大切にできる一体が選べます。部屋に飾るなら置く場所の寸法を先に測り、壁や家具の色に合う色を選びましょう。そのうえで産地や作り手の表示を確かめておくと、手元で長く愛せる一体になるでしょう。

Q. 招き猫を店に置くならどこがよいですか?

A. 店なら、客が入ってくる入口が昔からの置き場所です。世界大百科事典は、正月に招き猫を買い求めて店の入口に置く風習があると記しています。入口近くに置けない場合も、客から見える場所を選ぶと、招き猫を店に置く由来に沿った飾り方になります。

Q. 招き猫は一年中飾っておいてもよいですか?

A. 招き猫には、飾る時期やしまう時期の決まりは見当たりません。日本招猫倶楽部も、身の回りに置き、ふだんから目に入るようにする飾り方を勧めています。時期を気にせず、一年を通して同じ場所に飾っておいてかまいません。

招き猫研究所がつくる招き猫「Luxen Maneki」

招き猫をインテリアとして飾るなら、毎日目に入る場所に、部屋に合う一体を置くことが何より大切です。ただ、縁起物らしさと部屋になじむ佇まいを、両方備えた招き猫は多くありません。

「Luxen Maneki」の招き猫は瀬戸焼です。表面の金彩は、伝統窯の職人が筆で一体ごとに入れています。色は白・金・黒の3つで、花筏・錦鯉・浮世はそれぞれの名前です。受注生産なので、届くまでには約4〜6週間かかります。

包装には、特製の桐箱を使っています。湿気を吸って吐く桐は燃えにくさでも知られ、かつて金庫の内箱にも使われていました。飾る部屋を思い浮かべながら、一体を選んでみてください。

まとめ

招き猫を部屋に飾る場所に、公式の決まりはありません。日本招猫倶楽部が勧めるように、身近で毎日目に入る場所を選ぶのが基本です。

リビングなら目線の高さの棚、和室なら床の間が飾りやすい場所でしょう。一方で、寝室や通り道には大きな陶器の招き猫を置かないようにし、重いものほど低い位置に置いてください。

色と素材は部屋の雰囲気に合わせ、複数ならテーマを決めて並べると、棚全体がまとまります。飾る場所を決めてから大きさを選ぶと、部屋になじむ一体に出会えるはずです。