この記事でわかること
- おしゃれな招き猫は型・素材・色・大きさ・作り手で選ぶ
- かわいい二頭身の原点は昭和20年代の常滑にある
- 長く飾るなら色があせにくい陶器や磁器が向く
- 作り手と手描きかどうかを確かめると迷わない
おしゃれでかわいい招き猫は、デザインの型・素材・色・大きさ・作り手の5つの視点で選ぶと、好みと縁起の両方を満たせます。商品の名前を覚えるより、形の由来と作り手の考えを知るほうが近道です。
手を上げた猫の置物は、いつからこれほど多様な姿になったのでしょうか。
常滑・瀬戸の窯元への取材と、自治体の観光サイトや辞典などの公式情報をもとに整理しました。流行に左右されず、長く飾れる一体を選ぶ手がかりにしてください。
おしゃれ・かわいい招き猫を選ぶ5つの視点
おしゃれな招き猫を選ぶときは、見た目の好みに加えて、素材と作り手まで目を向けることが大切です。5つの視点を先に押さえておけば、通販の一覧を眺めるときも迷いにくくなるでしょう。
おしゃれな招き猫を選ぶときの要点
- デザインは伝統の型・かわいい・リアル・モダンの4つに分かれる
- 長く飾るなら、色があせにくい陶器や磁器が向く
- 作り手と手描きかどうかで、表情の確かさが変わる
デザイン・素材・色・大きさ・作り手の比較
5つの視点のうち、最初に決めたいのはデザインの型です。型が決まると、合う素材や色、作り手の候補も自然と絞られていきます。
おしゃれな招き猫を選ぶ5つの視点
| 視点 | 選べる幅 | 確かめること |
|---|---|---|
| デザインの型 | 産地の伝統の型・かわいい・リアル・モダン | 顔の表情と全体の形 |
| 素材 | 陶器・磁器・土人形・張り子・ガラスや石 | 長く飾れるか、色があせにくいか |
| 色 | 白・三毛・黒・赤・ピンク・金など | 込められてきた願いと部屋の色合い |
| 大きさ | ミニチュアから大きな置物まで | 置く場所の幅・奥行き・高さ |
| 作り手 | 産地の窯元・専門店・作家 | 産地や作り手の表示、手描きかどうか |
このうち色と大きさは、置く場所が決まっていれば選びやすい視点です。一方で、型・素材・作り手は、違いを知らないと比べられません。
そこで、この記事では型・素材・作り手を中心に、それぞれの違いを順にひもときます。
おしゃれな招き猫が増えた背景
招き猫のデザインが広がった背景には、手さえ上げていれば招き猫に見える自由さがあります。決まった形のしばりが少ないことが多様なデザインを可能にした、というのが朝日新聞のsippoの見立てです。
観光庁の解説文によると、常滑でも伝統的な三毛が根強く好まれる一方で、さまざまな色やデザインの招き猫が登場しました。
あわせて、作り手の側ではSNSの影響も感じられています。瀬戸の窯元フジコウセラミックの藤井さんは、全国の招き猫がすぐ目に入る時代になったと話しています。
石やガラスなど、陶器以外の素材でできた招き猫が増えたことにも触れていました。つまり、おしゃれな招き猫の多さは、作り手と素材が広がった結果といえるでしょう。
選んだ招き猫を部屋のどこに、どう飾るとなじむのかは、インテリアのスタイル別に別の記事で紹介しています。
招き猫のデザインの種類
招き猫のデザインは、伝統の型・かわいい・リアル・モダンの4つに分けると比べやすくなります。どの型も手を上げて福を招く姿は共通しているため、顔と形の好みで選んでかまいません。
産地に伝わる伝統の型
伝統の型は、産地ごとに顔つきと体つきがはっきり違います。愛知県公式観光サイトのAichi Nowは、招き猫の二大産地である瀬戸と常滑の違いを、姿の特徴から紹介しています。
産地に伝わる招き猫の主な型
| 型 | 姿の特徴 | 主な産地 |
|---|---|---|
| 瀬戸系 | スリムで上品な姿。前掛けのフリルなど細かい表現が得意 | 愛知県瀬戸市 |
| 常滑系 | 大きな耳とまるい顔、大きな目の二頭身で、小判を抱えた姿 | 愛知県常滑市 |
ほかの縁起物と比べると、型の多さは招き猫ならではの特徴です。縁起だるまは、少林山達磨寺の縁起によると、眉を鶴、口ひげを亀に見立てた鶴亀の顔をしています。
寺に伝わる達磨の絵をもとに木型が彫られ、その作り方が広まりました。一方で、招き猫には決まった顔がなく、産地ごとに型が分かれた分、デザインの幅が広いのです。
伝統の型を選ぶときは、産地の違いから見比べると好みが定まります。常滑と瀬戸の招き猫がどう生まれ、どこが違うのかは、それぞれ別の記事で詳しく扱いました。
かわいい招き猫の原点
今では定番になったかわいい招き猫の原点は、常滑系の二頭身にあります。常滑市観光協会によると、この形は昭和20年代(1945〜1954年)に生まれました。形にしたのは、梅月冨本人形園の三代目と友人の原型師です。
丸い頭に大きな瞳、ずん胴の体という愛らしい姿は、またたく間に全国へ広まったといいます。研究所の取材でも、昭和25年(1950年)頃までに今の形の土台ができていたと聞きました。
かわいい招き猫を選ぶときは、全体の形より先に、顔を見て決めるとよいでしょう。同じ形でも、顔の描き方ひとつで受ける印象が変わるためです。
リアルな招き猫
本物の猫に近い招き猫を探すなら、注文に応じて作るオーダーメイドが候補になります。店によっては、飼い猫の柄や表情に寄せた一点ものを相談できます。
一方で、型で作る招き猫にも、一体ずつ違う表情があります。常滑の梅月冨本人形園では、目とひげを入れる筆のわずかな差で顔つきが変わるそうです。
そのため、昔飼っていた猫に似ていると、店頭で選んでいく人もいます。つまり、リアルさは写真から作る方法と、顔を見比べて選ぶ方法の2通りで求められるのです。
モダン・アートとしての招き猫
モダンな招き猫を探すなら、作家が生み出す一点ものの作品にも目を向けましょう。
ただし、アートとしての招き猫は、奇抜な形だけを指すわけではありません。モダンな一体ほど、作り手の意図を確かめて選ぶと、飾る理由まで語れるでしょう。
素材で選ぶ招き猫
素材は見た目の印象だけでなく、どれだけ長く飾れるかにも関わります。招き猫の素材は大きく、陶器・磁器、郷土玩具の素材、ガラスや石などの新しい素材の3つに分けられるでしょう。
陶器と磁器の招き猫
長く飾る一体を選ぶなら、色があせにくい陶器や磁器が向いています。フジコウセラミックの藤井さんも、陶器は買ったあとに色があせないと話していました。
産地別に見る陶磁器の招き猫
| 産地 | 素材と見た目の特徴 |
|---|---|
| 瀬戸焼(愛知県瀬戸市) | スリムで上品な磁器製で、細かい表現が得意 |
| 九谷焼(石川県) | 石川県の伝統工芸品で、豪華な絵付けが特徴 |
| 常滑焼(愛知県常滑市) | 戦後に生まれ、広く流通して招き猫の定番になった |
陶器の招き猫の多くは、泥漿(でいしょう:液状にした粘土)を石膏の型に流して形づくります。梅月冨本人形園は、外側から固まったところで中を抜き、空洞にする工程を今も続けています。
あわせて、焼き方にも作り手の考えが表れるものです。フジコウセラミックは燃料代がかさんでも、やや高めの温度で17〜18時間焼き、白く美しい肌に仕上げることを選んでいました。
陶器と磁器の違いや、九谷焼ならではの華やかな絵付けは、別の記事で詳しく紹介しました。
土人形・張り子など郷土玩具の招き猫
素朴な味わいを好むなら、郷土玩具の招き猫という選び方もあります。岡山市の招き猫美術館によると、各地の郷土の招き猫は土人形や張り子(はりこ:型に和紙を重ねて作る技法)が中心です。
郷土玩具は、その土地で手に入りやすい材料を使い、地域の色を映して作られてきました。近代玩具に押されて作られなくなったものも少なくないと、日本大百科全書は記しています。
つまり、郷土玩具の招き猫は、その土地の暮らしと結び付いた一体です。旅先で出会ったら、何の材料で作られたかを確かめると、選んだ理由を人に話せるでしょう。
なお、今戸焼の土人形「丸〆猫」は、招き猫の最も古い作例とされています。今戸焼の招き猫が江戸の下町で育まれてきた背景は、別の記事で詳しく紹介しました。
木目込み人形や博多人形、張子の招き猫の違いは、人形の招き猫の記事で紹介しています。
ガラスや石など新しい素材の招き猫
近年は、陶器以外の素材でできた招き猫も増えています。フジコウセラミックの藤井さんは、石やガラスの招き猫について、いろいろな素材があって見ていて楽しいと話していました。
岡山市の招き猫美術館も、招き猫の素材として木や紙、ガラス、強化プラスチックなどを挙げています。素材の幅が広がった分、部屋に合わせて選べる見た目の幅も広がりました。
ただし、素材によって丈夫さや手入れの方法は異なります。購入前に、商品の表示で素材と取り扱いの注意を確かめてください。
長く飾るなら陶磁器、季節や気分で替えるなら新しい素材と、飾る期間で使い分けるのもひとつの方法です。
色と姿で選ぶ招き猫
色・手・持ちものには、それぞれ伝承の意味があります。おしゃれさと願いを重ねて選ぶと、見た目だけで決めるより愛着のわく一体になるはずです。
招き猫研究所が定義する色の意味
色を選ぶときは、部屋の色合いと、込めたい願いの両方を考えましょう。招き猫研究所では、招き猫の色の意味を次のように定義しています。
招き猫研究所の色の定義
| 色 | 招き猫研究所の定義 | 研究所の考え方 |
|---|---|---|
| 白・三毛 | 開運招福(どんな願いにも通じる基本の色) | 何色にも染まる白と、日本の猫らしい三毛は、願いを選ばずに福を招く基本の色 |
| 金 | 金運・仕事運 | 小判や黄金を思わせる金は、お金の巡りと、仕事や商いの実りを招く色 |
| 黒 | 厄除け | 夜の闇にも溶ける黒は、災いを寄せつけず、身と家を守る色 |
| 赤 | 病よけ | 古くから病を遠ざける色とされてきた赤は、病から身を守る色 |
| 緑 | 健康長寿 | 草木や若葉の色である緑は、いのちの勢いとすこやかさを表し、長く元気に過ごす願いを託す色 |
| ピンク | 恋愛成就 | 桜を思わせるやわらかなピンクは、恋心と良い出会いを招く色 |
| 黄 | 人望招福(人に慕われ、人が集まる運。いわゆる人気運) | 明るく人の目を引く黄は、人に慕われ、まわりに人が集まる運を招く色 |
| 青 | 学業向上(集中力・判断力の向上) | 澄んだ空や水を思わせる青は、心を落ち着かせ、学びに向かう集中と判断を支える色 |
研究所は、赤を病よけ、緑を健康長寿と分けて定義しています。この分け方は伝統的に決まったものではなく、研究所が定めた価値基準です。
研究所が色ごとの意味をどう定めたかは、招き猫の意味の記事で紹介しています。
白い招き猫と黒い招き猫に込められてきた願いや、その背景は、それぞれ別の記事で紹介しています。
手の高さと持ちもの
同じ色や型でも、手の高さと持ちもので印象は変わります。日本招猫倶楽部によると、耳より高く手を上げた姿は「手長」と呼ばれ、遠くの福や大きな福を招くとされてきました。
耳より低い手は、近くの福や身近な幸せを招くといいます。持ちものでは常滑系の招き猫が抱える小判が代表的で、愛知県の観光サイトは商売繁盛を表すものと紹介しています。
小判を抱える姿に込められた意味は、別の記事で詳しく扱いました。
大きさの選び方
大きさは、置く場所の寸法を測ってから決めると失敗しません。招き猫には、ミニチュアから大きな置物まで、幅広い大きさがあります。
棚に置くなら奥行き、窓辺なら高さというように、場所ごとに見るべき寸法は異なります。あわせて、通販で選ぶときは写真の印象ではなく、表示された高さを確かめましょう。
小さめの一体から迎えて、置き場所との相性を確かめるのもひとつの方法です。
置き場所と願いから大きさを選ぶ考え方は、別の記事で詳しく紹介しています。
作り手で選ぶ招き猫
同じようにおしゃれな招き猫でも、誰がどう作ったかで表情の確かさが変わります。産地の窯元の仕事を知っておくと、見比べるときの物差しになるでしょう。
型を守る産地の窯元
産地の窯元の招き猫は、変わらない形と、一体ずつ違う顔が魅力です。常滑の梅月冨本人形園は、昭和から大きく変わらない形を守り、モデルチェンジはしないと決めています。
冨本さんは、自分たちの招き猫を「120%手作り」と表現しました。職人が手で作るのは当然で、残りの20%は愛情だそうです。
工程の中で冨本さんがもっとも気を配るのは、目を描き入れる作業です。一度入れた線は、やり直せません。そのため、機械化や海外生産は選ばず、仕上げと品質の確認も自分たちの目でおこなっています。
瀬戸のフジコウセラミックも、同じ型から生まれる個体差を、人の手を通った証と受け止めていました。窯元の招き猫は、形の確かさと手仕事の表情を両方味わえる一体といえるでしょう。
常滑と瀬戸の窯元が語った招き猫づくりの考え方は、それぞれの取材記事にまとめました。
作り手を確かめるポイント
おしゃれな招き猫を選ぶ最後の決め手は、作り手が見えるかどうかです。商品ページや店頭の説明では、次の項目を確かめましょう。
作り手を確かめるときに見る表示
| 確かめること | わかること |
|---|---|
| 産地 | 常滑焼・瀬戸焼など、どの土地の型や技法か |
| 作り手 | 窯元・専門店・作家など、誰が作ったか |
| 手描きかどうか | 顔や柄が一体ずつ違うか |
| 素材 | 陶器・磁器か、ほかの素材か |
| 納期 | 在庫品か、注文を受けてから作るか |
表示がそろっている招き猫なら、選んだ理由を自分の言葉で語れます。一方で、表示が少ない場合は、店に問い合わせてから決めても遅くありません。
型を守る窯元か、デザインする専門店か、作家の一点ものか。作り手の違いを知ったうえで選ぶと、流行が変わっても手放したくない一体になるでしょう。
とはいえ、デザインの美しさと作り手の確かさを、両方そろえた一体を探すのは簡単ではありません。その答えのひとつが、招き猫研究所を運営する株式会社日本招き猫総合研究所のブランド「Luxen Maneki」です。
白・金・黒の3色を、瀬戸焼の伝統窯の職人が一体ずつ手描きの金彩で仕上げています。注文を受けてから約4〜6週間かけて作り、お届けしています。
よくある質問
Q. 開店祝いにおしゃれな招き猫を贈ってもよいですか?
A. 開店祝いや新築祝いは、招き猫が贈り物として選ばれることの多い場面です。贈る相手の店の雰囲気に合う色と、置き場所に収まる大きさを選ぶと、飾ってもらいやすいでしょう。
Q. かわいい招き猫でも縁起物として飾れますか?
A. かわいい招き猫も、手を上げて福を招く姿は伝統の招き猫と変わりません。日本招猫倶楽部の荒川千尋さんは朝日新聞のsippoで、招き猫は時代を映す鏡のように姿を変えてきたと語っています。好みの姿の一体に願いを込めて、大切に飾るとよいでしょう。
Q. 招き猫の置物を手放すときはどうすればよいですか?
A. 寺社で授かった招き猫は、授かった寺社の案内に従いましょう。豪徳寺では、願いが叶ったあとに境内の奉納所へ招き猫を納める人が多いと紹介されています。店で買った置物を処分するときは、お住まいの自治体のごみの分別に従ってください。
招き猫研究所がつくる招き猫「Luxen Maneki」
おしゃれな招き猫を選ぶときは、見た目の好みと作り手の確かさを両立させることが大切です。とはいえ、デザインの美しい招き猫ほど、量産品との違いが見えにくいと感じる人もいるでしょう。
研究所が手がける「Luxen Maneki」は瀬戸焼の招き猫で、伝統窯の職人が一体ずつ手描きの金彩を施しています。白の花筏、金の錦鯉、黒の浮世の3種類があり、注文を受けてから約4〜6週間で仕上げます。
特製の桐箱に納めてお届けする点も、Luxen Manekiの特徴です。桐は湿気を吸って吐き、燃えにくいことから、昔は金庫の内箱にも使われてきた木です。由来と作り手まで語れる一体を探しているなら、選択肢のひとつとして確かめてみてください。
まとめ
おしゃれ・かわいい招き猫は、デザインの型・素材・色・大きさ・作り手の5つで選べます。今では定番のかわいい二頭身も、昭和20年代の常滑で生まれた形です。
まずは伝統の型・かわいい・リアル・モダンから好みの姿を決め、長く飾るなら陶器や磁器を選びましょう。色と大きさは、込めたい願いと置き場所から決めると迷いません。
最後に、産地と作り手、手描きかどうかを確かめてから迎えてください。作り手の考えまで知って選んだ一体なら、部屋に置くたびに選んだ理由ごと愛着がわくはずです。













