この記事でわかること
- 数ごとの意味を定めた公式の決まりは見当たらない
- 2匹なら、左右の手で願いを分けて託す方法がある
- 住吉大社は48体で満願とし「始終発達」にかける
- 数は願いと置き場所から自由に決めてよい
招き猫を何匹置くかについて、「1匹なら◯◯、2匹なら◯◯」と数ごとの意味を定めた決まりは、公式の情報には見当たりません。愛好家団体の日本招猫倶楽部も、飾り方に特に決まりはないと答えています。
それでも、1匹にするか2匹にするかで迷う人は多いのではないでしょうか。数そのものに意味はなくても、二体で願いを分ける方法や、数を重ねて願う寺社の習わしは確かにあります。
愛好家団体と寺社、自治体の公式情報で確かめられる「数」の話に絞って整理しました。
招き猫の数に決まった意味はある?
招き猫の数については、何匹がよいという決まりは確認できません。手や色の意味は公式に紹介されているのに、数の意味は扱われていないのです。
数ごとの意味は公式には見当たらない
招き猫の意味として公式に紹介されているのは、手・色・手の高さです。日本招猫倶楽部のQ&Aも、数ごとの意味には触れていません。
招き猫の意味について公式で確かめられること
| 要素 | 公式の紹介 | 紹介している公式 |
|---|---|---|
| 上げた手の左右 | あり | 日本招猫倶楽部 |
| 色 | あり | 日本招猫倶楽部 |
| 手の高さ | あり | 日本招猫倶楽部 |
| 何匹置くか | なし(飾り方に決まりはない) | 日本招猫倶楽部 |
そのため研究所では、「2匹は夫婦円満」のような数ごとの意味づけは書いていません。ただし数に意味がないからといって、何匹迎えても同じというわけでもないでしょう。
上げる手や色を組み合わせれば、一体ずつに別の願いを託すことができます。手・色・持ち物それぞれの意味は、意味の記事に一覧でまとめました。
1匹から少しずつ増えていく招き猫
日本招猫倶楽部は、招き猫を「1つ買うと、だんだん増えてくる」ものとして語っています。招き猫はまず自分を好きになってくれる人を招き、次に自分の仲間を招くというのです。
つまり招き猫の数は、最初から決めるものというより、縁に応じて増えていくものと受け止めることもできます。一方で、窯元が数を形にした招き猫もあり、常滑の梅月冨本人形園は「三匹猫」を作っています。
ただし三匹猫にどんな意味を込めたかは、同園の公式サイトには書かれていません。そのため研究所では、三匹という数の意味には踏み込まずにおきます。
招き猫研究所が定義する数の意味
公式の決まりがない招き猫の数について、招き猫研究所では次のように定めています。数そのものに吉凶はありません。
招き猫研究所の数の定義
| 数 | 招き猫研究所の定義 | 研究所の考え方 |
|---|---|---|
| 1体 | 一つの願いを託す基本の数 | 迷ったときは、いちばんの願いを一体に託す |
| 2体 | 右手と左手で願いを分けて託す | 右手の金運と左手の人招きのように、二体で願いを分け合う |
| 3体以上 | 願いの数だけ迎える(数に吉凶はない) | 数そのものに良し悪しはなく、託したい願いの数で決める |
この定義は、色・持ち物の定義とあわせて招き猫研究所 資料室の「招き猫研究所の定義」にまとめています。
招き猫を2匹で迎えるときの考え方
2匹で迎えるなら、上げる手の違う二体を並べるのがわかりやすい方法です。二体に別々の願いを託せるうえ、両手の招き猫を避けたい人の選択肢にもなるでしょう。
右手と左手の二体で願いを分ける
右手と左手の招き猫を一体ずつ迎えると、お金と人の両方の願いを二体に分けて託せます。日本招猫倶楽部は、右手を挙げた招き猫は「お金」を、左手を挙げた招き猫は「人やお客」を招くと紹介しています。
両手を上げた一体でも両方を招くとされますが、その姿は「お手上げ」を連想させ、縁起が悪いとされてきたと時事用語事典イミダスは記しました。そこで、両手の姿が気になる人には、左右の二体に願いを分ける迎え方が向いています。
大阪の住吉大社でも、授かる招き猫の手は月によって替わります。奇数月は左手、偶数月は右手を上げた小猫で、左手は家内安全と人招き、右手は商売発達とお金招きを願うものです。
つまり左右の二体は、数の意味ではなく、手の意味を組み合わせるための並べ方といえます。
左右の手の意味の背景と、両手の招き猫の選び方は、次の2本で詳しく扱いました。
ペアの猫に縁を重ねる今戸神社
2匹の猫を縁と結びつける例として、東京・浅草の今戸神社があります。台東区の公式観光サイトは、今戸神社を招き猫と関わり深い縁結びの神社と紹介しています。
同じページによると、今戸神社では縁を招き寄せるペアの猫をモチーフにした絵馬や御朱印帳が人気です。この地は今戸焼が生まれた場所で、猫の焼き物を売っていたことから招き猫発祥の地ともされています。
ただし、ペアの猫が描かれているのは絵馬や御朱印帳で、招き猫の置物を2匹並べる決まりを示したものではありません。そのため、2匹で迎える根拠としてではなく、猫を二匹で描いて縁を表す一例として受け止めるとよいでしょう。
今戸焼の招き猫が江戸の下町で育まれてきた背景は、今戸焼の記事で紹介しています。
数に意味を込めた住吉大社の初辰まいり
招き猫の数に公式の意味が込められている例が、大阪の住吉大社がおこなう初辰(はったつ)まいりです。小さな招き猫を毎月1体ずつ集め、48体で満願とする習わしがあります。
48体で満願となる「始終発達」
住吉大社では、毎月最初の辰の日を初辰と呼び、この日に境内の4つの社を参ります。そのうち楠珺社(なんくんしゃ)で毎月授かるのが、招福猫(しょうふくねこ)と呼ばれる小さな招き猫です。
4年かけて48体を集めると、満願成就です。公式サイトによると、この数は「四十八辰」と「始終発達(しじゅうはったつ)」を掛けた語呂合わせから来ています。4年参り続けられること自体が、無事に発達している証でもあるそうです。
初辰まいりで招福猫を集める流れ
| 年数 | 集めるもの | その先 |
|---|---|---|
| 毎月 | 小猫1体(奇数月は左手、偶数月は右手) | 玄関や居間にまつる |
| 4年 | 小猫48体 | 中猫1体と交換 |
| 12年目 | 中猫2体と小猫48体 | 大猫1体と交換 |
| 24年 | 左右の手招きの大猫 | 大願成就 |
つまり住吉大社の招き猫は、数そのものより、毎月参り続けた年月が意味を持つ仕組みです。
招き猫ゆかりの全国の寺社と、住吉大社で招福猫が大きくなっていく流れは、次の記事でも紹介しました。
招き猫の数の決め方
数に決まりがない以上、願いの数と置き場所から決めるのが無理のない方法です。寺で授かった招き猫は、その寺の考え方もあわせて確かめておきましょう。
願いと置き場所から数を決める
願いが一つなら1匹、お金と人の両方を願うなら左右の2匹、というように願いの数に合わせると決めやすくなります。日本招猫倶楽部は、身近に置き、日ごろから目に入るようにする飾り方を勧めています。
そのため、毎日目に入る場所に、無理なく並べられる数を選ぶのが現実的でしょう。増えた招き猫の扱いにも、決まった作法はありません。
東京都世田谷区の豪徳寺では、参拝者が納めた招福猫児(まねきねこ)が、境内の奉納所にずらりと並んでいます。寺は奉納に決まりは特にないとしたうえで、願いが叶った後に納める人が多いようだと添えていました。
置く場所ごとの考え方は置き場所の記事に、豪徳寺の招福猫児については寺の記事にまとめました。
何匹迎えるかを決めたら、次は一体ずつの作りにも目を向けたくなるものです。株式会社日本招き猫総合研究所からお届けしている招き猫に、「Luxen Maneki」があります。同社は招き猫研究所の運営会社です。瀬戸焼の伝統窯で、職人が一体ごとに金彩を描き入れている招き猫です。
よくある質問
Q. 3匹の招き猫には意味がありますか?
A. 3匹という数に決まった意味は、公式の情報では確かめられませんでした。常滑の梅月冨本人形園は「三匹猫」という招き猫を作っていますが、込めた意味は公式サイトに書かれていません。数より、一体ずつの手や色に込められた意味から選ぶとよいでしょう。
Q. 招き猫を奇数と偶数のどちらで置くとよいですか?
A. 招き猫を奇数か偶数で置くべきだとする公式の決まりは、確認できませんでした。日本招猫倶楽部も、飾り方に特に決まりはないとしています。住吉大社のように、奇数月と偶数月で上げる手を替える習わしはありますが、置く数の決まりではありません。
Q. 風水では招き猫の数に決まりがありますか?
A. 研究所が確かめた辞典や公式の情報には、風水で招き猫の数を定めた記述は見当たりませんでした。風水は本来、地形や方位から住まいや墓の場所を選ぶ考え方です。置く数は、願いの数と置き場所の広さから決めるとよいでしょう。
招き猫研究所がつくる招き猫「Luxen Maneki」
数に決まりがないからこそ、一体ずつに込める願いと、その一体の作りを大切にしたくなります。ただ、何を基準に「長く手元に置く一体」を選べばよいか、迷う人もいるでしょう。
招き猫研究所の「Luxen Maneki」は、伝統窯の職人が瀬戸焼に金彩を手描きし、一点ずつ仕上げる招き猫です。受注生産で、注文から届くまでの目安は約4〜6週間となっています。
届ける際の箱には、特製の桐箱を選びました。桐は燃えるのが遅く、火がついても表面が炭化して燃え広がりにくいといわれる木です。
まとめ
招き猫の数には、「1匹なら◯◯、2匹なら◯◯」という公式の決まりはありません。日本招猫倶楽部も飾り方に決まりはないとし、招き猫は1つ迎えるとだんだん増えていくものだと語っています。
2匹で迎えるなら、右手と左手の二体に願いを分けるのが一案です。数に意味を込めた例としては、48体で満願となる住吉大社の初辰まいりが知られています。
迷ったときは、願いの数と、毎日目に入る置き場所から数を決めましょう。一体ずつの手や色の意味を確かめて迎えれば、数にとらわれずに願いを託せます。








