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産地と窯元

木目込み人形の招き猫とは?博多人形・張子・土人形との違いや選び方を解説

この記事でわかること

  • 木目込み人形の招き猫は、溝に布をはめ込んで装う
  • 博多人形と土人形は素焼き、張子は紙でできている
  • 江戸木目込人形と博多人形は国の伝統的工芸品
  • 選ぶ目安は、素材・作り手・顔の描き方・大きさ

木目込み人形の招き猫は、猫の形に彫った溝へ布をはめ込み、着物を着せたように仕上げる人形です。焼き物とは素材や技法が違い、絹や革の質感をまとった姿に特徴があります。

招き猫には、木目込みのほかにも博多人形・張子・土人形といった人形や郷土玩具の仲間があります。どれも陶磁器とは別の技から生まれたため、並べてみると肌ざわりや表情の違いがよくわかるでしょう。

研究所では、伝統工芸 青山スクエアや自治体、産地の組合、作り手本人の公式サイトを確かめました。そのうえで、種類ごとの作り方と産地を整理しました。後半では、迎えるときに見ておきたい点もまとめています。

人形の招き猫の種類【早見表】

人形の招き猫は、布・粘土・紙という3つの素材から4つの種類に分けられます。最初に全体を表でとらえ、焼き物の招き猫とどこが違うのかを確かめておきましょう。

木目込み・博多人形・張子・土人形の違い

いちばん大きな違いは、焼くかどうかにあります。博多人形と土人形は粘土を窯で素焼きにする一方、木目込みと張子は焼かずに仕上げます。

人形・郷土玩具の招き猫の4つの種類

種類素材作り方の要点主な産地見た目の特徴
木目込み人形桐塑(とうそ)と布胴に溝を彫り、布をはめ込む埼玉県・東京都着物を着たような布の質感
博多人形粘土石膏型で形を写し、素焼きして彩色福岡県筆で描いたなめらかな肌
張子和紙型に紙を重ね、乾かして型を抜く群馬県高崎市など中が空洞で、素朴な手描きの柄
土人形粘土土型で形を作り、素焼きして彩色京都の伏見、東京の今戸胡粉と泥絵具の素朴な色

桐塑とは、桐の木の粉を糊で練り固めた素材のことです。木目込み人形はこれを型で抜いて胴体にするため、窯の火を通しません。

ただし、同じ粘土でも博多人形と土人形は区別して呼ばれています。博多人形は国の伝統的工芸品に指定され、使う粘土や彩色の技法まで細かく定められた人形だからです。

産地ごとの招き猫の全体像は、焼き物の産地もふくめて別の記事で紹介しました。

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焼き物の招き猫とどこが違うのか

焼き物の招き猫との違いは、肌に何をのせて仕上げるかに表れます。瀬戸焼のような焼き物は釉薬をかけて焼き上げる一方、人形の招き猫は布や胡粉、絵具で肌と柄を作るのです。

日本六古窯の公式サイトによると、瀬戸焼は鉄分のほとんどない白い粘土に恵まれた産地です。そのため白い素地に絵を描き、さまざまな釉薬をかける焼き物が育ちました。

これに対して博多人形は、およそ900度で焼いた生地に、胡粉で肌の下地を作ってから色をのせます。胡粉(ごふん)とは、貝殻を焼いて粉にした白い顔料のことです。

つまり同じ白い招き猫でも、釉薬をかけた焼き物はつやのある白、人形は胡粉で整えた白と、表情の出方が変わってきます。置く場所の光や好みの質感に合わせて、素材から選んでみるとよいでしょう。

焼き物の招き猫が陶器と磁器でどう違うのかは、素材を軸にした記事で詳しく扱っています。

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人形の技が招き猫に生かされてきた背景

人形の招き猫が生まれたのは、各地の人形づくりの技に、猫という題材が加わったためです。木目込みも博多人形も、もとは節句や祝いの人形を作ってきた技でした。

東京都の伝統工芸品の案内は、木目込人形を、子の成長を願って親が贈る人形の一つとして紹介しています。日本では人形に魂が宿ると考えられ、子を災いから守る厄除けの役目も担ってきたといいます。

一方で招き猫は、季節の行事よりも商いや暮らしの福と結びついてきた縁起物です。世界大百科事典は、正月に招き猫を買い求めて店の入口に置く風習があると記しています。

だからこそ、節句人形の技で作られた招き猫は、節句の時期にかかわらず福を願って飾れる人形といえるでしょう。子のための人形づくりの技が、商いや家の福を願う猫の姿にも生かされているのです。

人形の招き猫と見比べるうちに、焼き物の招き猫の白や金彩も手に取って確かめたくなるかもしれません。瀬戸焼の招き猫「Luxen Maneki」は、招き猫研究所を運営する株式会社日本招き猫総合研究所のブランドです。

六古窯のひとつ瀬戸焼の猫に、伝統窯の職人が筆で金彩を描き加えた一体です。

木目込み人形の招き猫(江戸木目込人形)

木目込み人形の招き猫は、国の伝統的工芸品「江戸木目込人形」の技法で作られています。布で装う独特の見た目は、溝を彫ってから布をはめ込む工程から生まれるものです。

木目込み人形の招き猫の要点

  • 桐塑の胴に溝を彫り、布の端を押し込んで着せつける
  • 江戸木目込人形の主な産地は、さいたま市や東京都の台東区など
  • 柿沼東光の招き猫は、絹地のほかプリント布や革もまとう

溝に布をはめ込む作り方

木目込みの名前は、溝に布を「きめこむ」工程から付けられました。柿沼東光の公式サイトは、衣裳のひだや布の境目に細い溝を彫り、そこへ布を入れる技法と説明しています。

青山スクエアによると、作業はまず粘土で原型を作り、型を取って桐塑の胴体を抜くところから始まります。胴に胡粉を塗って生地を引き締めたあと、彫刻刀で筋彫りと呼ばれる溝を刻むのです。

続いて溝へ糊をさし、型紙どおりに裁った布を、目打ちやへらで押し込んでいきます。曲線の部分にたるみやしわを出さないことが、仕上がりを左右するそうです。

そのため丸みの強い招き猫は、布をきれいに沿わせる技量が問われる題材といえます。柿沼東光の公式サイトも、形が丸いほど着物の生地にしわが出やすい点を、江戸木目込の難しさとして挙げているほどです。

木目込みは絵の具で描くのではなく布を貼る作業のため、焼き物の絵付けとは別の手仕事になります。絵付けを体験できる場所は、次の記事でまとめました。

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京都で生まれ、江戸で育った産地

木目込人形の始まりは、18世紀の京都とされています。柿沼東光は発祥を元文年間(1736〜41年)とし、東京都の案内も18世紀に京都で生まれたと記しています。

あわせて青山スクエアによれば、上賀茂神社の祭事の道具に使う柳の残りで神官が小さな人形を彫ったのが始まりです。溝に衣装の残り布を挟んで着せたことが、木目込人形という名の由来になりました。

その技が江戸へ伝わり、江戸風に発達したのが江戸木目込人形です。明治の後期には、木彫りの胴に代わって桐塑を型で抜く作り方が広まり、多くの形を作れるようになったといいます。

江戸木目込人形の基本情報

項目内容
伝統的工芸品の指定昭和53年(1978年)2月6日
主な製造地域さいたま市・春日部市、東京都の文京区・台東区・墨田区など
定められた主な原材料桐塑の用材は桐、着付けの生地は絹織物など
産地組合東京都雛人形工業協同組合

木目込みの招き猫は、こうした産地の工房が節句人形の技を応用して作るものです。工房の名前と所在地を確かめると、どの産地の技による一体かが見えてきます。

柿沼東光の招き猫

柿沼東光の招き猫は、木目込みに新しい素材を取り入れたシリーズです。江戸木目込人形の工房で、公式サイトには埼玉県越谷市の住所が記されています。

あわせて公式サイトによると、工房を率いる柿沼東光さんは経済産業大臣認定の伝統工芸士です。全国節句人形コンクールでは、内閣総理大臣賞などの受賞を重ねてきました。

招き猫の目にはスワロフスキーを、鈴にはパワーストーンを使っています。胴体にも絹地のほか、プリント布や革といった、従来の木目込みにはなかった素材を使っているそうです。

柿沼東光の招き猫のシリーズ(2026年10月時点)

シリーズ布の例大きさ(高さ)
風水シリーズ色無地のほか友禅・市松柄・名物裂・金襴など大130mm・中115mm・小100mm
星に願いをシリーズちりめん・光彩・横段折りなど大155mm・中125mm・小100mm

つまり同じ形でも、まとう布が変われば印象は大きく変わります。木目込みの招き猫を選ぶなら、布の柄と質感から好みの一体を探すとよいでしょう。

博多人形の招き猫

博多人形の招き猫は、福岡で受け継がれてきた素焼きの人形の技で作られます。筆で仕上げるなめらかな肌と、細やかな面相が見どころです。

博多人形の要点

  • 白い粘土を石膏型に押しつけて形を写し、約900度で焼く
  • 1600年に黒田長政が筑前に入ったころに始まったとされる
  • 産地組合は、猫の博多人形「福かぶり猫」を紹介している

石膏型と素焼きで作る博多人形

博多人形は、粘土を石膏型に押しつけて形を写し、焼いてから彩色する人形です。青山スクエアは、福岡の近郊から掘り出した粘土を乾かし、砕いて水にさらしてから練り上げると説明しています。

そのうえで作り手は、ヘラを使って粘土で原型を仕上げます。その原型から石膏の型を取り、生地を指で強く押しつけて同じ姿を写していくのです。

型から外した生地は乾かしたのち、電気窯やガス窯でおよそ900度に焼かれます。焼いた生地には胡粉を何度も塗り重ね、着物や帯、模様の順に色をのせていきます。

なお最後の面相は、口紅や目、まゆ毛を面相筆で描き入れる工程です。博多人形商工業協同組合も、この工程を博多人形の生命ともいえる表情づくりとして紹介していました。

黒田長政の入国とともに始まった産地

博多人形の起こりは、1600年に黒田長政が筑前へ入国したころとされています。青山スクエアと博多人形商工業協同組合は、そろってこの年を始まりとして挙げていました。

組合によると、このとき集められた職人たちの中から素焼きの人形が生まれたといわれます。江戸時代の後半には名工が活躍し、人形は全国に出回るようになったといいます。

明治に入ると、パリなどの博覧会で評価を受けたそうです。こうして「博多人形」の名が知られ、海外へも輸出されるようになったと組合は説明しています。

博多人形の基本情報

項目内容
主な製造地域福岡市・小郡市・筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市など
定められた粘土油山産の粘土、またはこれと同等の材質のもの
定められた顔料岩絵具や泥絵具など
産地組合博多人形商工業協同組合(福岡市博多区)

一方で、博多人形の題材は美人ものや歌舞伎もの、能ものなど幅広いものです。猫の人形も、こうした多彩な題材の一つとして作られています。

猫の博多人形と伝統的工芸品のシール

猫の博多人形の一例として、産地組合は「福かぶり猫」を紹介しています。組合のお知らせでは、「福をかぶる」でおなじみの作品として、小副川太郎さんの作と記されていました。

この作品は、地下鉄七隈線の薬院駅で、ほかの博多人形とともに展示されてきたそうです。組合はこの展示を、福岡・博多の伝統工芸品としてお知らせで案内しています。

博多人形を選ぶときに目安になるのが、伝統的工芸品のシールです。組合の公式サイトによると、このシールの付いた品は、国が指定した伝統的工芸品の博多人形だといいます。

そのため猫の博多人形を探すなら、作者の名前とあわせてシールの有無も見ておくと安心です。シールは、国が指定した伝統的工芸品の博多人形であることを示す目印になります。

張子の招き猫

張子の招き猫は、和紙を重ねて形を作る、素朴な風合いの招き猫です。だるまと同じ技で作られ、関東ではだるま市で親しまれてきました。

張子の招き猫の要点

  • 型に和紙を張り重ね、乾いてから型を抜いて作る
  • 関東では、だるま市で張子の招き猫が売られてきた
  • 高崎の張り子メーカー一千乃は、高さ5.5cmの招き猫も作る

和紙を張り重ねる張子の作り方

張子(はりこ)は、型の上に紙を何枚も重ねて形を作る技法です。デジタル大辞泉は、紙を張り重ねて乾かしたあと、中の型を抜き取って作るものと説明しています。

窯で焼かずに仕上げるうえ、型を抜いたあとの中は空洞になります。粘土を詰めて焼く土人形とは、この点が大きく異なるでしょう。

高崎市に本社を置く株式会社一千乃は、張り子を、昔から日本で親しまれてきた縁起物として紹介しています。和紙を重ねて形を作り、願いを込めて仕上げるものだというのです。

つまり張子の招き猫は、紙という身近な素材に福を願う気持ちを託した縁起物といえます。土や布とは違う、紙ならではの素朴な手描きの柄を楽しめる種類です。

だるま市で売られてきた張子の招き猫

関東の張子の招き猫は、だるま市で売られてきた歴史を持っています。日本大百科全書によれば、おもに農家が、蚕の敵であるネズミを遠ざける願いを込めて買い求めたといわれます。

ここには、商いの福を招く焼き物の招き猫とは違う役目が見えてくるでしょう。猫がネズミを捕る生き物であることが、張子の招き猫では暮らしを守る願いにつながったのです。

だるまも、養蚕と結びついて関東の市で求められてきた張子です。日本大百科全書は、養蚕の盛んな関東で、蚕の上簇(じょうぞく)にちなんで起き上がるだるまが縁起物になったと記しています。

ただし、だるまが達磨大師の座禅の姿をうつしたのに対し、招き猫は片手を上げた猫の姿です。同じ市に並びながら、猫はネズミから蚕を守る役目を担ったところに招き猫らしさがあります。

張子の招き猫を迎えるなら、こうした背景を知っておくと見え方が変わるはずです。素材ごとに招き猫を求めた人や願いがどう違ったのかは、種類の記事でも整理しています。

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高崎の張り子メーカーが作る招き猫

群馬県高崎市の株式会社一千乃は、張子の招き猫を製造・販売しているメーカーです。会社概要によると、旧社名はアクティ大門屋で、張り子の企画・製造・販売を手がけています。

同社の公式サイトは、招き猫を古くから愛されてきた張り子の一つと紹介しています。そのうえで、さまざまな招き猫を作っていると案内していました。

一千乃が紹介する張子の招き猫(2026年10月時点)

商品名公式サイトの紹介
まめまねき高さ5.5cmの小さな招き猫。全12種で、それぞれ絵付けが異なる
はりこーシカ招き猫白と柄があり、マグネット入りの和紙の座布団が付く
大門屋たま三郎シリーズ長く作られてきたオリジナルの招き猫で、縁起に合わせて選べる

まめまねきのような小さな張子なら、棚の隙間や机の上にも置けます。全12種の絵付けを見比べて、好みの柄を選ぶ楽しみもあるでしょう。

あわせて、高崎はだるまの産地としても知られる土地です。世界大百科事典は、高崎市の達磨寺で1月に開かれる達磨市を最大のものとして紹介しています。一千乃の社長も、平成のはじめまでは制作物の95%がだるまだったと語っていました。

土人形の招き猫(伏見人形・今戸人形)

土人形の招き猫は、土型で形を作って素焼きにし、胡粉と泥絵具で彩った招き猫です。京都の伏見人形は各地の土人形の源流とされ、江戸の今戸人形も招き猫の歴史に名を残しています。

土人形の招き猫の要点

  • 伏見人形は、稲荷山の土を使って伏見稲荷大社の近くで作られてきた
  • 伏見の窯元「丹嘉」には、招き猫の伏見人形もある
  • 今戸人形の丸〆猫は、招き猫の元祖ともいわれる

伏見人形の招き猫

伏見人形は、京都市伏見区の伏見稲荷大社の近くで作られてきた土人形です。日本大百科全書は、稲荷山の土を使って始まり、全国の土人形の源流になったと説明しています。

作り方は、表と裏の2枚の土型に粘土を詰めて合わせ、型から外して乾かしてから焼くというものです。焼き上げた人形には胡粉で下地を塗り、泥絵具で色をつけて仕上げます。

江戸時代には京土産として伏見街道や稲荷大社の参道で売られ、販路は四国や九州まで広がりました。そのため伏見人形を手本にした土人形が、各地で作られるようになったといいます。

いまも伏見で人形を作り続けているのが、窯元の「丹嘉(たんか)」です。京阪電気鉄道の紹介によると、8代目は、かつて伏見街道に約60軒あった窯元のうち残るのは自分の店だけと語っています。

丹嘉には2,000種類を超える土型が伝わり、猫の人気を受けて8匹の猫が並ぶ「八方招き猫」も生まれました。古い型を守りながら、招き猫の新しい姿も作られているのです。

今戸人形の招き猫

今戸人形は、隅田川沿いで焼かれた今戸焼のかたわらで作られた土人形です。東京都北区は、なかでも丸〆猫(まるしめねこ)を招き猫の元祖ともいわれる人形として紹介しています。

日本大百科全書によれば、土で作る招き猫は浅草の今戸でさかんに焼かれ、今戸焼を代表する品になりました。土人形の招き猫を語るうえで、今戸は欠かせない産地の一つでしょう。

北区によると、古型今戸人形の作り手である吉田義和さんは、隅田川・荒川の流域から土を採って精製しています。焼いた人形には、膠や胡粉、泥絵具で絵付けをしているそうです。

一方で、丸〆猫が江戸で評判を呼んだいきさつや、ほかの作り手の活動は、今戸焼を主題にした記事にまとめています。この記事では、土人形の仲間としての要点だけを押さえておきます。

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人形の招き猫の選び方

人形の招き猫を選ぶときは、素材・作り手・顔の描き方・大きさの4点を見比べると迷いません。どれも作り手の公式な情報で確かめられる点です。

伝統的工芸品と伝統工芸士を目安にする

確かな技の一体を求めるなら、伝統的工芸品かどうかと、作り手の肩書きが目安になります。この記事で紹介した種類では、江戸木目込人形と博多人形が国の伝統的工芸品です。

伝統的工芸品には、伝産法と呼ばれる法律で定めた要件があると、伝統的工芸品産業振興協会は説明しています。製造の主要な部分が手作りであることや、およそ100年以上続く技法と原材料を使うことなどです。

もう一つの目安が、伝統工芸士という称号でしょう。協会が認定するもので、伝統的工芸品の技術・技法を持つ作り手に与えられ、全国で約3,200名が活躍しているといいます。

人形の招き猫を選ぶときの見どころ

見る点確かめること確かめる場所
素材布・粘土・紙のどれでできているか作り手の商品説明
産地と技法伝統的工芸品の産地の技か伝統的工芸品のシール、産地組合の案内
作り手工房名や作者名、伝統工芸士かどうか工房の公式サイト
大きさ置く場所に収まる高さか商品の寸法表示

ただし、張子や土人形には国の伝統的工芸品に当たらないものも多くあります。その場合は、工房の名前や産地の説明が判断の手がかりになるでしょう。

顔の描き方と大きさで選ぶ

人形の招き猫は、顔を筆で描き入れるため、一体ごとに表情が違います。青山スクエアは、木目込人形の顔は手描きで、作者によって顔が変わるのが特徴だと説明していました。

博多人形でも、面相は人形の表情を決める工程として大切にされています。同じ型から生まれた招き猫でも、目の描き方ひとつで穏やかにも凛々しくも見えるのです。

そのため実物や写真を見比べられるなら、目元と口元をよく見て選ぶとよいでしょう。気に入った表情の一体なら、長く飾っても飽きにくいはずです。

大きさは、種類によって幅があります。柿沼東光の招き猫は高さ10〜15.5cmほど、一千乃のまめまねきは高さ5.5cmでした。

色で迷ったときは、研究所が定めた色の意味も手がかりになります。研究所の定義では、金は金運・仕事運、黒は厄除けの色です。

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よくある質問

Q. 木目込み人形という名前にはどんな意味がありますか?

A. 布を「きめこむ」ことに由来します。人形の胴に彫った細い溝へ、布の端を押し込んで着せつける技法から付いた名前です。京都で生まれた当初は賀茂人形と呼ばれていました。衣装の布を木の切れ目に挟んで作ることが、いまの呼び名につながったのです。

Q. 張り子は縁起物ですか?

A. はい、縁起物として長く求められてきました。張子で作られる代表的な縁起物がだるまで、商売繁盛や開運出世を願って求められてきたと、辞典も説明しているほどです。高崎の張り子メーカー一千乃も、張り子を、福を招いて人との縁をつなぐものとして紹介しているのです。

Q. 博多人形は土人形の一種ですか?

A. 粘土を素焼きにする点で、土人形の仲間に数えられます。日本大百科全書は、全国の土人形の代表として博多人形や伏見人形、今戸人形を挙げています。ただし博多人形は、材料や技法が国に定められた伝統的工芸品でもあり、郷土玩具の土人形とは区別して呼ばれることが多いです。

Q. 人形の招き猫も、上げている手で意味が変わりますか?

A. 一般には、右手はお金を、左手は人を招くといわれます。ただしこれは決まりではなく、寺社や地域によって左右の意味が入れ替わることもある言い伝えです。木目込みや張子の招き猫を選ぶときも、託したい願いや置く場所に合わせて手を選ぶとよいでしょう。

招き猫研究所がつくる招き猫「Luxen Maneki」

布や紙の招き猫を知ると、焼き物ならではの白い肌と、筆で描いた金の線にも目が向くのではないでしょうか。人形と焼き物は優劣ではなく、素材が違うからこそ生まれる表情の違いです。

六古窯のひとつ、瀬戸焼で作る招き猫が「Luxen Maneki」で、株式会社日本招き猫総合研究所が手がけています。伝統窯の職人が金彩を手で描き入れ、一点ずつ仕上げています。

受注生産のため、注文からお届けまでは約4〜6週間です。届くときは、特製の桐箱に納められた姿です。

まとめ

人形の招き猫には、木目込み・博多人形・張子・土人形の4つの種類があります。布で装う木目込み、素焼きに筆で描く博多人形と土人形、紙を重ねる張子と、素材ごとに肌の表情もさまざまです。

なかでも江戸木目込人形と博多人形は、国の伝統的工芸品に指定された産地の技です。張子は高崎、土人形は伏見や今戸と、それぞれの土地の作り手が招き猫を形にしてきました。

迎えるときは、素材と作り手、顔の描き方、大きさの順に見比べてみましょう。工房や産地組合の公式の情報で作り手を確かめれば、由来まで語れる一体に出会えるはずです。